80万部突破という帯に惹かれて手に取った作品です。ホラー作家・雨穴氏の初長編ということで、期待値も高めでした。 9枚の奇妙な絵をモチーフに、複数の事件を絡ませていく構成は確かに工夫されています。謎解きの要素があり、どのようにして事件が繋がるのかという興味は最後まで持続しました。 ただし、正直なところ、終盤で提示される「真実」については、少々物足りなさを感じました。伏線が張られ、パズルのピースが揃うはずの瞬間も、想像していたほどの衝撃や深さに欠けるというか。YouTuberとしての活動が忙しいのか、文章のテンポもやや散漫な部分がありました。 ホラーとしての戦慄感よりも、謎解きミステリーとして読むと良さそうです。決して悪くない作品ですが、人気の割には「なるほど、そういうことか」で終わってしまう感じ。慎重派の私としては、過度な期待を抱かずに読むことをお勧めします。
最近登録された他の本の感想
2026年07月16日
娘が好きなアニメだというので、この本を手に取ってみました。正直なところ、年配の自分が読んでも大丈夫だろうかと少し躊躇していたのですが、予想を大きく上回る充実した内容でした。 本編では描かれなかったキャラクターたちの背景が丁寧に紡がれており、特に炭治郎が妹の幸せを願う心情の描き方に深く共感できます。親として、子どもの将来を思いやる気持ちというのは洋の東西を問わず変わらないのだな、と改めて感じました。 新書版のふりがな付きということで読みやすさも申し分なく、短編集という形式も忙しい日常の中で無理なく読み進められるのが良いですね。また、本編との繋がりを感じながら読める工夫も随所に見られます。 娘とこの本について話し合う機会も増え、別の楽しみも生まれました。大人が読んでも充分に価値のある一冊だと思います。
2026年06月24日
直木賞受賞作ということで、評判の確かさを確認してから手に取った。正解だったと思う。 妻に裏切られた男が、別の女性に惹かれていく…という基本の設定だけ聞くと、ありがちな恋愛小説かと身構えてしまう。だが読み進むと、この作品がそのような安易な枠組みに収まらないことに気づかされる。著者は愛とは何か、相手を選ぶとはどういうことか、といった本質的な問いを静かに、しかし確実に重ねていく。 登場人物たちの心理描写が丁寧だ。特に主人公の揺らぎや迷い、そして徐々に変わっていく感情の流れが自然で説得力がある。54歳の身として、人生の途中で予期せぬ感情に揺さぶられる経験についても、深く考えさせられた。 恋愛小説というカテゴリーにありながら、人間関係の複雑さ、人生におけるパートナーの意味について考え続けさせる骨太さがある。長編ながらも一気読みさせてしまう力があり、読み終わった後も心に残る。やはり評判の書は理由があるものだと改めて感じた。
2026年06月22日
正直なところ、このシリーズは最初、やや敬遠していました。あやかしものということで、どうしても軽めの内容かと思っていたからです。しかし、シリーズを追うにつれて、その判断は誤りだったと気づかされました。 この新婚編五では、天狗という新たな登場人物が加わることで、物語に新しい緊張感が生まれています。柚子をめぐる複数のあやかしの思惑が絡み合い、単純なラブストーリーではない、複雑な人間関係(あやかしですが)の葛藤が丁寧に描かれている。玲夜の独占欲と烏羽家当主の一途さの対比も興味深く、どちらに感情移入するかで読後の余韻が変わってくるほどです。 文章も読みやすく、テンポよく物語が進むため、会社帰りの疲れた時間でも無理なく読み進められました。このシリーズは侮れない。シリーズを追うことをお勧めします。
2026年06月17日
劉生という大画家の人間像をこんなに生き生きと感じられるとは思わなかった。娘による手記という立場ならではの、距離感のバランスが秀逸だ。客観性を保ちながらも、親への深い愛惜が随所に滲み出ている。 実は購入前、何人ものレビューを参考にしていたのだが、この本が単なる家族の思い出話に終わらず、画家としての劉生の葛藤や創作の本質に切り込んでいるという評判に惹かれた。読んでみると確かにそうで、特に麗子像をめぐる一連の記述は、芸術と人生がいかに絡み合うかを考えさせられる。 会社人生も後半戦の身として、劉生が人生のさまざまな時期に直面した迷いや決断の話は、他人事とは思えない部分が多い。娘のまなざしを通じて見えてくる、才能ある人間の脆さと誠実さ。古い作品ながら、今読んでも色褪せない人間観察の深さがある。文庫本で手軽に読めるのも良い。
2026年06月15日
仕事の疲れを癒すため、最近ゲームを始めた。ポケモン スカーレット・バイオレットは、オープンワールドという新しい試みに惹かれて購入したのだが、想像以上に複雑で戸惑うことが多かった。そこで本書を手に取ることにした。 正直なところ、ゲーム攻略本に対して慎重な見方をしていた。しかし、この公式ガイドブックは予想を上回る質の高さに驚いた。25年の編集歴を持つチームの力量が感じられ、単なる攻略情報ではなく、ゲーム世界への理解を深める読み物として機能している。パルデア地方の冒険が体系的に整理されており、どこに進むべきか、何をすべきかが視覚的にわかりやすい。 登場人物の設定資料も充実していて、ストーリーの背景にある意図がより鮮明になった。息抜きのつもりで始めたゲームだが、本書のおかげで、より深い楽しみを発見できたことが大きな収穫だ。細部まで丁寧に作られた本だと感じる。
2026年06月15日
長年、様々な文学作品に接してきましたが、この作品は確かに世評の通りの傑作だと実感しました。 チャーリイという一人の青年の劇的な変化を通じて、知能と人間性、幸福と不幸の本質が問い直される。その構成の見事さに、まず引き込まれます。進歩報告書という形式で描かれるチャーリイの心情の変化は、読む側の感情をも大きく揺さぶります。 特に印象深かったのは、知能の向上に伴う人間関係の変化です。かつての優しさが失われ、知識による傲慢さが生まれる様。そして、それらすべてを見つめ直す場面。人生経験を積んだ身だからこそ、その葛藤の深さが痛いほど理解できました。 何度も出版されてきた作品ですが、この新版は訳者のあとがきが著者追悼となっており、改めてこの作品の重さを感じさせます。慎重に本を選んでいた私ですが、この作品は躊躇なく推奨できます。万人の心を揺さぶる、本当に素晴らしい一冊です。
2026年06月15日
最近、書評サイトで高い評価を見かけることが多かったので、思い切って手に取ってみた一冊だ。正直なところ、ここまで緻密に計算されたサスペンスは久しぶりである。 タイトルの女性アレックスが監禁されるという状況設定だけを知っていたが、物語が進むにつれ、その予想がことごとく裏切られる。著者の心理描写の深さと、プロット構成の巧妙さには本当に驚かされた。登場人物たちの動機が次々と明かされていく過程で、ページをめくる手が止まらなくなった。 ここまで読んで気づくのだが、これは単なるサスペンス小説ではない。人間の心の奥底にある執着や怨念、そして復讐心といった根源的なテーマに深く切り込んでいる。54歳になると、人生経験もそれなりに積んできたが、この作品が描く人間関係の葛藤は非常にリアルで、他人事とは思えない部分もある。 若干、後半の展開に強引さを感じる部分がなくはないが、全体的には非常に完成度の高い傑作だと評価したい。ベストセラーという評判に納得できる一冊である。
2026年06月15日
新本格ミステリの源流として評価が高い作品だったので、慎重に手に取ってみました。 孤島の十角館に集められた大学ミステリ研究会のメンバーが次々と殺されていく―という設定自体は興味深く、序盤の緊張感は確かに感じられます。登場人物たちの関係性や背景の描き方も丁寧で、ページをめくる手が進みました。 ただ、終盤の「驚愕の結末」に関しては、個人的には率直に言って期待値ほどの衝撃は受けませんでした。仕掛けそのものは凝っていますが、読んでいて若干の違和感をぬぐえず、腑に落ちない部分があります。新作発表当時は革新的だったのかもしれませんが、今読むと時間が経った分、新鮮さが損なわれている印象も否めません。 ミステリ好きなら読んでおく価値はあると思いますが、この作品が必読の傑作かというと、個人的には慎重に推奨したいところです。時間をかけて読むなら、事前の情報収集をしっかりしておくことをお勧めします。
2026年06月14日
長年、新聞や週刊誌で報道される出来事を疑問に思いながらも、その背景まで深く考える余裕もなく過ごしてきた。この本はそうした私の姿勢に問いを投げかけた。 ノンフィクション作家による1200日の執念的な取材記録という触れ込みに惹かれて手に取ったが、期待を大きく上回る内容だった。国家権力、官僚機構、メディア、司法が関わるとされる事件について、既存の報道では決して見えない視点が綴られている。著者が直面したと思われる外部からの圧力や黙殺の状況を読むたびに、この国の民主主義の根幹について改めて考えさせられた。 520ページという分量に最初は躊躇したが、一度読み始めると引き込まれた。細部にわたる取材を積み重ねた筆致は、単なる陰謀論ではなく、実証的で説得力がある。慎重に情報を判断する習慣のある身としても、この著作は極めて信頼に値すると感じた。 法治国家であることの本質を問う、今の日本で最も必要とされる一冊だと考える。
2026年06月13日
本屋大賞の上位作というので、期待と不安が入り混じって手に取った一冊です。ここ数年、話題作の多くが私の好みに合わないことが多かったので、慎重になっていたのです。 しかし、読み始めてすぐに引き込まれました。階級の違う二人が出会う古びた団地の物語なのですが、その描写の丁寧さ、心理描写の繊細さに、ページをめくる手が止まりません。著者は、何気ない日常のなかに、どれほどの感情の重みが隠れているかを知っている人なのだと感じます。 人生経験を重ねた今だからこそ、この物語が持つ重さが理解できるのだと思います。若い頃に読んでいたら、また違う感想を持ったかもしれません。恋愛小説としてだけでなく、運命と選択についての深い問い掛けが、読み終わった後も心に残ります。 完璧とは言いませんが、久しぶりに「良い小説を読んだ」という充足感が得られました。同年代の方や、人生に疲れた方にも推したい一冊です。
ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し
読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。
タイトル
読書状況
評価
感想
ネタバレを表示しますか?
この感想には物語の内容に関するネタバレが含まれている可能性があります。
ブクマとは
読んだ本を、かんたんに記録できる
読書管理サービスです。
あなただけの本棚をつくる
気になる本を検索して簡単登録。絞り込みや並び替え、削除も簡単です。
ブックリストで分類・整理
「お気に入り」「気になる本」など、自由にブックリストを作成できます。
感想・評価・メモを残す
読んだときの気持ちや、心に残った言葉を自由に記録できます。
共有と発見の楽しみ
他のユーザーの本棚や感想から、新しい一冊に出会えます。
読書体験をシェア
自分の本の感想やブックリストをSNSでシェアすることもできます。
ブクログから本棚を移行
これまでブクログで管理していた読書記録を、ブクマへインポートできます。