ほかならぬ人へ

ほかならぬ人へ

白石一文

出版社:祥伝社 出版年月日:2013/01/01

祥伝社 | 2013/01/01

4.20
本棚登録:8人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作ということで手に取ってみたんですが、これは本当に良い作品でした。 人間関係の複雑さと、それでも存在する純粋な感情を丁寧に描いた恋愛小説です。主人公が妻に裏切られた後に別の女性との関係を通じて何かを見つけていく過程が、とても自然で説得力がある。押し付けがましくない語り口も好印象です。 特に「ベストの相手が見つかったときは明らかな証拠がある」という問い掛けから物語が始まる構成が秀逸。読んでいて、自分自身も愛とは何か、相手を選ぶとはどういうことか考えさせられました。 文庫本という気軽に読めるフォーマットなのも助かります。通勤時間などの合間にちょっとずつ読み進めながらも、その世界観にしっかり引き込まれていった感じです。恋愛小説というと甘ったるいイメージもありますが、こちらはむしろ大人の視点で人間関係の本質に迫っている点が素晴らしい。仕事で疲れた時に、こういう思慮深い物語に出会えるのは本当にありがたいですね。

感想

直木賞受賞作ということで手に取ったのですが、こんなに心が揺さぶられる作品だとは予想外でした。 裏切られた男性が新しい人との関係の中で、愛とは何かを問い直していく過程がとても丁寧に描かれています。最初は自暴自棄な状態から始まるのに、徐々に相手の女性に惹かれていく流れが自然で、読んでいてドキドキしてしまいました。 何より印象的だったのは、著者が「ベストの相手」という概念を壊していくところ。完璧な恋愛じゃなくても、その人だからこそ感じられる何かがあるんだ、というメッセージが静かに伝わってくるんです。学生の今だからこそ、こういう視点を知っておくのは大事だなって感じます。 文体も読みやすくて、文庫本だからサクサク進むのも魅力。話題作だけあって、SNSで見かけた感想の意味もようやく分かりました。人間関係や恋愛について考え直したい人や、純粋な恋愛小説を求めている人には本当におすすめです。

感想

直木賞受賞作ということで期待して読んでみたんですが、正直なところ、ちょっと物足りなかった感じです。 愛する者に裏切られた主人公が新しい感情に目覚めていく—という基本構造は理解できるし、そういう人間ドラマの描き方は上手いと思います。ただ、物語全体としては、何か力強さに欠ける印象を受けてしまいました。登場人物たちの心理描写は丁寧なんですが、それがストーリー全体の推進力には繋がってない感じというか。 恋愛小説として「愛とは何か」を問い直す試みは評価できるんですが、39歳の自分が読むと、そこに描かれた愛のかたちが、どうも観念的に見えてしまうんですね。もっと泥くさい、生身の人間らしい葛藤があれば、より心に響いたかもしれません。 悪い本ではないです。むしろ丁寧に書かれた作品だと思う。ただ、自分の好みという観点では、もう一歩何かが欲しかったというのが正直な感想です。時間に余裕がある時に、ゆっくり読むには良いかもしれません。

感想

直木賞受賞作ということで期待して手にとりましたが、その期待を十分に上回る作品でした。 裏切られた男が、ある女性の中に見出す「ほかならぬ人」との繋がり—その単純ながら深い物語構造が魅力的です。著者は愛とは何かを、決して説教的にならず、丁寧に描き出しています。妻に裏切られた主人公の心理的な揺らぎから、新しい関係性の中での再生へ至るまでのプロセスが非常にリアルで、自分の人生経験と照らし合わせながら読んでしまいました。 新社会人として、人間関係や愛情について改めて考えさせられる機会をくれた良書です。「純粋な恋愛小説」という帯の表現も納得できます。ただし、期待値が高い分、終盤の展開にはやや物足りなさを感じた部分もあります。それでも、現代人が忘れがちな何かを思い出させてくれる作品として、多くの人に勧めたい一冊です。

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