生のみ生のままで 上

生のみ生のままで 上

綿矢 りさ

出版社:集英社 出版年月日:2022/06/17

集英社 | 2022/06/17

4.25
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

綿矢りさの新作ということで手に取ったんですが、期待以上の仕上がりでした。女性同士の恋愛を描く作品って、どうしても表面的になりがちだと思ってたんですけど、この作品はそうじゃない。登場人物たちの内面の揺らぎや葛藤が丁寧に描写されていて、引き込まれました。 特に印象的だったのは、恋愛感情が生まれるまでのプロセス。唐突に見えるかもしれない出来事も、細かい心理描写を追っていくと自然に感じられる。そういう繊細な書き方が綿矢りさらしいなって思います。 ただ正直なところ、上巻の段階では物語としてはまだ序章に近い感じがしますね。だからこそ下巻が気になって仕方ない。もっと関係がどう動いていくのか、登場人物たちがどんな選択をするのか、そこまで読まないと全体評価は難しいと感じました。でも上巻だけでも十分価値のある作品です。新しい文学的表現の可能性を感じさせてくれた一冊でした。

感想

綿矢りさの新しい作品だと聞いて、手に取ってみました。恋愛小説は得意な作家さんですが、今回はまた新しい領域に踏み込んでいるんですね。 リゾートでの出会いから始まる二人の関係性が、実に丁寧に描かれていて引き込まれました。最初は何気ない会話に見えるやり取りが、じわじわと意味を帯びてくる。その心理描写の巧さはさすがです。恋人との関係と彩夏への感情が交錯する逢衣の揺らぎが、とても人間らしくて好感が持てます。 同性同士の恋愛を描きながらも、根底にあるのは普遍的な「愛する」という感情なんだなと感じさせてくれる。派手さはないけれど、心の動きを丹念に追っていく文体が心地よい。上巻だけで満足できますが、下巻がどうなるのか気になって仕方ありません。 気軽に読める文庫版というのも、このごろの楽しみ方にぴったり。夏の夜に読むのに最適な一冊ですよ。

感想

島清恋愛文学賞の受賞作ということで、期待を持って手に取った一冊です。正直なところ、女性同士の恋愛を題材にした作品について、これまであまり読む機会がありませんでしたが、この本は予想外の深さと繊細さで引き込まれました。 綿矢りさの筆致は相変わらず鮮烈で、二人の女性キャラクターの心情描写が非常に丁寧です。恋人との関係が安定していた主人公が、突然現れた彩夏という存在によってどう揺らぐのか、その過程が息もつかせぬほどの緊張感で描かれています。 特に印象的だったのは、恋愛という枠組みを超えた、二人の間の複雑な力関係と惹かれ合う力学です。美しさ、不遜さ、知られざる脆さ――キャラクター造形の手腕には感心させられました。 ただ上巻までの時点では、物語の全容が見えていません。下巻がどう展開するのか気になるところですが、少しだけ慎重に進みたい気もしています。新しい領域への挑戦として、この作家の力量を感じさせる秀作だと思います。

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