食堂巡礼
白泉社 | 2026/04/03
みんなの感想
小川糸さんの本は以前から好きで、このエッセイ集も迷わず手に取りました。 日本全国の食堂を巡る旅の記録なんですが、単なる「おいしい食べ物紀行」ではないんです。訪れた先々で出会う人たちの人生や想い、そして彼らが作る料理への向き合い方が丁寧に描かれていて、読んでいると自分も一緒に旅をしているような感覚になります。山形の山の茶屋、沖縄の森の中の食卓、能登の復興の話など、どれもが印象的です。 小川糸さんの文章は相変わらず静謐で美しく、読んでいてとても落ち着くんですよね。主婦として毎日台所に立つ身からすると、料理を作る人たちの真摯さや工夫、そこに込められた想いがすごく響きました。食べることって、こんなに豊かで深いものなんだと改めて感じさせてくれます。 ただ、もう少しバラエティ豊かな職業の人たちの話も読みたかったかなという気もするので、星は4つで。でも本当に素敵な一冊です。台所で疲れた時や、ちょっと心がしぼんでいる時に読むと、元気をもらえそうな本だと思います。
小川糸の文章の繊細さはいつも好きなのですが、今作は個人的にはやや期待を下回ってしまいました。 全国各地の食堂を巡礼し、料理人たちの人生に触れるというコンセプト自体は素敵です。山形の茶屋、沖縄の深い森での食事、能登の復興を支える人々…訪問先の選定も丁寧で、読んでいると著者の向き合う姿勢が伝わってきます。 ただ、エッセイとしての厚みがやや不足しているように感じました。料理と人物描写の中に、もっと著者自身の内面や問い、葛藤が欲しかった。訪問記としては成立していますが、どのページを読んでも少しどこか距離を感じてしまい、引き込まれ切れません。教室で生徒たちの人生に日々接している身としては、もう少し深い人間関係の機微を期待していたのかもしれません。 悪い本ではありませんが、小川糸作品としては少し物足りない。ゆったり読むには悪くない一冊です。
小川糸さんのエッセイ集というので手にとってみたのですが、これは本当に素敵な一冊でした。 日本全国の食堂や料理人のもとを訪ねる巡礼記なのですが、読んでいると自分も一緒に旅をしているような感覚になります。山形の思い出のパティスリーから沖縄の森の中の料理まで、著者がそれぞれの場所で出会った人々の生き方が、静謐で温かい文章で綴られているんです。 仕事の合間の休憩時間に読むと、心がほぐれるような気がします。料理に向き合う人たちの真摯な姿勢や、地域の文化を守ろうとする想いが伝わってくると、日々の慌ただしさの中でも大切なものが見えてくるような…そんな読後感。 グルメ本というわけではなく、「食べる」という行為を通じて人間とつながる、そういう世界観がとても好きです。次のお休みに、自分も誰かが丁寧に作った食事をゆっくり味わう時間を作ろうかなって思わせてくれました。