雄一の本棚
信州善光寺門前 おやすみ処にしさわ商店

信州善光寺門前 おやすみ処にしさわ商店

長月天音 徳間書店 2025年12月10日

感想

信州善光寺の門前という舞台設定に惹かれて手に取った一冊。実は『ほどなく、お別れです』は未読なのだが、この作品は独立して楽しめる良い作品だと感じた。 小さな宿屋を舞台に、様々な事情を抱えた人たちが立ち寄る。その一つひとつの出会いと別れが丁寧に描かれているのだが、決して重くならず、むしろ淡く温かい。自営業をしていると、人間関係の複雑さや人生の辛さをしみじみと感じることがあるのだが、この物語を読んでいると、そういった痛みや喪失感とどう向き合うか、という大事なテーマが自然に伝わってくる。 派手な事件や劇的な展開はないけれど、読み進めるにつれてじんわり心が温かくなる。疲れた時に枕元に置いて、何度も開きたくなるような一冊。文庫本というフォーマットも、気軽に読める気軽に読み返せるという点で、この作品にぴったり合致している。人生の中盤を迎えた自分にとって、今のタイミングで出会えて良かった。

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