雄一の本棚
暗黒捜査 警察署長 綾部早苗

暗黒捜査 警察署長 綾部早苗

二上 剛 講談社 2019年3月1日

感想

講談社の新書で警察小説というのは珍しいなと思って手に取りました。ドラマ化もされた作品らしいので期待値も高めでしたが、読んでみると可もなく不可もない、といった印象です。 警察組織内の権力闘争と個人の欲望が絡み合うストーリー展開は興味深いです。キャリア官僚と現場警察官の対立構図も日本の官僚制度を考える上で現実味があります。ただ、主人公の綾部早苗のキャラクターが少々単調に感じられました。宝くじで大金を手にしたことで性格が変わっていく過程は分かるのですが、その変化がやや急速で、腑に落ちない部分がありましたね。 新書という限られた紙幅の中での展開なので、登場人物たちの心理描写がもっと深く掘り下げられていれば、より引き込まれたと思います。警察小説としての枠組みは上手くまとめられていますが、何か物足りなさが残る作品でした。気軽に読むには十分ですが、特別に心を揺さぶられるような場面もなく、読み終わった後の余韻が薄い。自営業の身で時間がある時に読むには無難な選択肢かもしれません。