暗黒捜査 警察署長 綾部早苗

暗黒捜査 警察署長 綾部早苗

二上 剛

出版社:講談社 出版年月日:2019/03/01

講談社 | 2019/03/01

3.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

講談社の新書で警察小説というのは珍しいなと思って手に取りました。ドラマ化もされた作品らしいので期待値も高めでしたが、読んでみると可もなく不可もない、といった印象です。 警察組織内の権力闘争と個人の欲望が絡み合うストーリー展開は興味深いです。キャリア官僚と現場警察官の対立構図も日本の官僚制度を考える上で現実味があります。ただ、主人公の綾部早苗のキャラクターが少々単調に感じられました。宝くじで大金を手にしたことで性格が変わっていく過程は分かるのですが、その変化がやや急速で、腑に落ちない部分がありましたね。 新書という限られた紙幅の中での展開なので、登場人物たちの心理描写がもっと深く掘り下げられていれば、より引き込まれたと思います。警察小説としての枠組みは上手くまとめられていますが、何か物足りなさが残る作品でした。気軽に読むには十分ですが、特別に心を揺さぶられるような場面もなく、読み終わった後の余韻が薄い。自営業の身で時間がある時に読むには無難な選択肢かもしれません。

感想

最近、警察ものの推理小説がはやっているようですね。テレビドラマの「黒薔薇」も評判だったので、この本が原作だと知って手に取ってみました。 警察署内での権力闘争を描いた作品なのですが、組織の中での人間関係の複雑さがなんともリアルで、正直びっくりしました。主人公の綾部署長がキャリア組という立場で葛藤し、予想外の幸運に心が揺らいでいく様子が、とても丁寧に描かれています。宝くじが当たるなんて夢のような展開ですが、そこからストーリーが暗転していくところが面白い。 仕事の現場での人間関係に疲れることもある身としては、登場人物たちの心の動きにとても共感できました。ページをめくる手が止まりません。新書サイズなのも読みやすくて、忙しいパート生活の合間に少しずつ読み進められるのがいいですね。ミステリーとしても、人間ドラマとしても、どちらでも十分楽しめる一冊だと思います。