さようなら、オレンジ

さようなら、オレンジ

岩城けい

出版社:筑摩書房 出版年月日:2013/08/01

筑摩書房 | 2013/08/01

4.40
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

仕事で疲れた夜、こういった人間ドラマに心がほっこりする年齢になったんだなあと感じながら読みました。 オーストラリアの片田舎を舞台に、アフリカから流れ着いた難民女性と日本人女性の出会いを描いた作品です。どちらも人生で大きな挫折を経験した女性たちが、職業訓練校という場所で少しずつ前に進もうとする姿が丁寧に描かれていて、本当に優しい気持ちで読み進められました。 特に心に残ったのは、言葉の壁を乗り越えようとする主人公の必死さや、どこか人生に諦めを感じていた日本人女性が再び何かを求め始めるプロセス。二人の関係が時間をかけて変わっていく様子が自然で説得力があります。会社員生活で時に感じる閉塞感から、ふっと救われるような読後感も素敵でした。 重いテーマを扱っていながらも、どこか温かみのある物語。太宰治賞受賞作というのも納得の一冊です。肩肘張らずに読める良質な小説を探している方に、本当におすすめしたい作品ですよ。

感想

太宰治賞受賞作ということで、どのような作品なのか興味を持って手に取りました。予想以上に深い人間ドラマが展開されていて、一気読みしてしまいました。 オーストラリアの田舎町を舞台に、異なる背景を持つ二人の女性の出会いと関係性を描いた作品です。難民として新しい土地で必死に生きるサリマと、人生のどこかで夢をしまい込んだ日本人女性「ハリネズミ」。二人が職業訓練学校で出会い、互いに励まし、支え合う姿が本当に素敵なんです。 何より印象的だったのは、著者が言語の壁や文化の違い、そして人生の選択という普遍的なテーマを、とても丁寧に、そしてユーモアを交えて描いている点です。管理職としてこれまで数多くの人間関係を見てきた身からすると、登場人物たちの心理描写が実に的確で、思わず自分の経験と重ねてしまうところがありました。 決して重くなりすぎず、でも確かに心に残る。現代の日本文学が持つべき温かさと鋭さが両立している秀作だと思います。

感想

太宰治賞を受賞した話題作ということで、手に取ってみました。オーストラリアの田舎町を舞台に、異なる境遇の二人の女性が出会い、関係を深めていく物語です。 サリマはアフリカからの難民、ハリネズミは自分の夢を後回しにして渡豪した日本人女性。一見すると全く異なる人生を歩んできた彼女たちが、職業訓練学校で英語学習を通じて繋がっていく過程が丹念に描かれています。 何しろこの年になると、人生の選択肢の重さというものが身に染みてわかります。夫について異国へ渡った女性、子どもを育てるため懸命に働く難民女性——それぞれが人知れず抱えているものの大きさに、じっと考えさせられました。 著者の視線は温かく、決して説教的ではありません。むしろ二人の小さな日常の会話や思考の中に、人間らしさが息づいているのが良い。話題作とはいえ、きちんと文学として完成した一冊だと思います。定年後、人生の後半戦に入った世代の方にも強くお勧めしたい作品です。

感想

太宰治賞受賞作ということで慎重に手に取ったのですが、正解でした。 オーストラリアの田舎町を舞台に、難民女性サリマと日本人女性ハリネズミの関係を描いた作品。一見するとテーマが重そうでしたが、意外なほど温かみがあり、読み進めるのが止められませんでした。 フリーランスという立場で、常に先の見えない生活をしている自分だからこそ、二人の主人公たちが必死に前に進もうとする姿勢に強く惹かれました。言語の壁、文化の違い、人生の諦め——こうした困難に直面しながらも、他者とのつながりの中で少しずつ変わっていく過程が丁寧に描かれています。 特に印象的だったのは、タイトルの「さようなら、オレンジ」に込められた意味。その解釈は読み手に委ねられるところが、文学作品らしい奥深さだと感じました。 難民問題や国際的な視点も盛り込まれていながら、押し付けがましくなく、あくまで人間関係の物語として昇華させている著者の手腕が見事です。47歳という人生経験を積んだ時点だからこそ味わえる深さがある作品だと思います。迷っている方には、ぜひお勧めします。

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