みんなの感想
話題の2.5次元アイドル・莉犬の自伝とあって、どんな内容なのか気になって手に取ってみました。正直なところ、若い世代向けのエンタメ本だと予想していたのですが、読み進めるうちに引き込まれてしまいました。 本書で印象的なのは、時代の最先端を走り続けてきた彼が、決して順風満帆な道のりではなかったという点です。家族との葛藤、夢の挫折、友との別れ——そうした普遍的な悩みと真摯に向き合う姿勢が、年の差を超えて心に響きます。特に「本当の自分」を模索し続けるプロセスが誠実に綴られており、これは決して若者だけの問題ではなく、人生のどの段階にいる者にとっても大切なテーマだと感じました。 エッセイとしての完成度も高く、自身の経験から導き出された言葉には重みがあります。同じく人生の途中で自分らしさについて考えた経験を持つ身として、この作品から学ぶことは多いです。年代を問わず、生きづらさを感じている全ての人に勧めたい一冊です。
最近登録された他の本の感想
2026年09月06日
「マカン・マラン」の新作がついに出たとTwitterで話題になっていたので、さっそく手に取ってみました。前作ファンの期待値は相当高かったはずですが、これは見事に応えてくれた一冊だと思います。 台湾を舞台に、シャール、ジャダ、さくらの三人が繰り広げる物語。女王さまたちの行き先々での食との出会い、文化的な発見、そこで出会う人々との交流が、淡々とした筆致で綴られていきます。派手さはないけれど、読んでいて思わずほっこりしてしまう場面が随所にあって、仕事で疲れた平日夜にぴったりでした。 何より良いのは、ただの旅エッセイに留まらず、登場人物たちが旅を通じて何かを学び、変化していく過程が丁寧に描かれている点。人生の折り返し地点を過ぎた身としては、こういう「新たな気づき」の話は本当に響きます。開店10周年という節目での新作というのも、シリーズの重厚さを感じさせますね。 ファンなら確実に満足できますし、未読の人にもお勧めできる、温かみのある作品です。
2026年09月06日
本屋大賞受賞作ということで、慎重に情報を集めてから手に取りました。正解でした。 この物語は「愛」という言葉では説明しきれない、人と人の繋がりを描いています。家族を失い、心が死んでいくような少女時代を過ごした主人公。その時に彼女の居場所となった人物との再会。一般的な恋愛小説とも、家族小説とも違う独特の温度感が、読み進むにつれて心に沁みていきます。 フリーランスという立場で、人間関係の距離感に常に向き合う自分にとって、この作品は非常に考えさせられるものでした。「そばにいたい」という切実な願いが、どこまでも純粋で、どこまでも複雑で。著者の丁寧な描写が、登場人物たちの心の揺らぎを見事に捉えています。 映画化されたとのことですが、この繊細な感情世界は、文字だからこそ余韻として残るのではないでしょうか。時間をかけてゆっくり読むことで、作品の本質がより深く理解できるように思います。人間関係について問い直したい方、文学的な深さを求める方に強くお勧めできます。
2026年09月04日
1968年初刊のディストピア時代小説ということで、歴史的な価値と現代的な視点から興味を持って手に取りました。「やさしい殿さま」が統治する「やさしい村」という設定は、一見ユートピアを装いながら、その裏側を問い直す——という構造は、プログラミングでいう表層と本質の矛盾を扱う難題に通じるものがあります。 読んでみると、確かに児童文学の枠を超えた問題提起があります。ただ、正直なところ、現代の読者にとってはやや説教的に映る箇所もありました。作品の歴史的意義は十分に理解できるのですが、情緒的な共感や物語への没入という点では、期待値よりも一歩引いた感じが残ります。 復刊企画として注目される理由は分かります。古典を再評価することは大切ですし、この作品が児童文学の歴史に刻んだ足跡も尊重します。ただ個人的には「なるほど、そういう意味があったのか」という知的な理解に留まってしまい、心が揺さぶられるような体験には至りませんでした。思想性と物語性のバランスについて、もう一度読み返してみる価値はあると思います。
2026年09月04日
書店で見かけて、タイトルの穏やかさに引き込まれて手に取った一冊です。 57歳で早期退職した主人公が、妻子とも別居する中で「純喫茶巡り」を趣味にするという設定。正直、地味な話だなと思ったのですが、読み始めたら一気に引き込まれました。各地の純喫茶で出会うコーヒーの味わい、そこに流れる時間、そして主人公の心情の機微が見事に描かれている。 新社会人の自分からすると、仕事人生の終盤に差し掛かった主人公の葛藤や迷いがとても説得力を持って感じられます。人生100年時代という言葉をよく聞きますが、この作品はそこに向き合う一つの形を示してくれているような気がします。 何より、コーヒーについての描写が本当に美味しそう。読み終わった後、自分も純喫茶に行きたくなりました。人生のどの段階で読んでも響く、そういう普遍性と、今この時代だからこそ必要な視点が詰まった作品だと思います。仕事で疲れた時に開きたい、そんな一冊です。
2026年09月03日
本屋大賞のノミネート作ということで手にしたのですが、期待値を大きく上回る傑作でした。バレエという一見難しいテーマながら、物語の入り込み方が本当に自然で、一気読みしてしまいました。 主人公の萬春という舞踊家の人生を、彼と関わるさまざまな表現者たちの視点を通じて描く構成が秀逸です。『蜥蜂と遠雷』を思わせる、才能と執念が交錯する世界観。バレエの動きそのものが紙面から立ち上がってくるような、そんな感覚さえ覚えました。 自営業をしていると、自分の「表現」とは何かをよく考えるようになるのですが、この作品はそうした問いへの一つの答えをくれた気がします。芸術の世界に限らず、何かを極めようとする人間の覚悟や迷い、その先にある美学—それがこれほどまで深く描かれているなんて。 10年の構想・執筆の重みがしっかり感じられる完成度の高さ。今年のノミネート作の中でも、特に話題になるに値する一冊だと思います。
2026年09月03日
最近、こういう人情味あふれる小説が出ているんだなと感心させられた。 自営業をやってきた身としては、人と人とのつながりの大切さというのは、嫌というほど理解している。この本は葬儀場を舞台にしながら、そうした人間関係の本質を丁寧に描いている。漆原という主要人物のキャラクターが非常に魅力的で、毒舌ながらも遺族に真摯に向き合う姿勢に引き込まれた。 著者が夫の闘病と死別を経て五年かけて書いたという背景を知ると、一編一編の物語に重みが感じられる。単なる感動小説ではなく、死別という誰もが経験する人生の岐路について、そっと手を差し伸べるような優しさがある。スカイツリーの近くという現代の東京を舞台にしながらも、古き良き人情が息づいている点がいい。 八十になった今だからこそ、こうした作品の価値がよくわかる。無理な感動狙いではなく、自然な形で心を揺さぶられた。文庫本というのも手に取りやすくていい。
2026年09月03日
ヤマザキマリのキャリアってこんなに波乱万丈だったのか、と驚きながら一気に読んでしまいました。14歳でヨーロッパへ、高校中退、フィレンツェ留学、極貧生活…人生ってほんと予測不可能だなと改めて感じます。 エンジニアとして割と計画的に仕事をしている自分にとって、彼女のように「なるようになれ」的な行動力と試行錯誤の連続は、正直眩しく見えます。失敗や回り道が実は最短ルートだったという話、いくつも出てきますね。テルマエ・ロマエのくだりなんて、絶望的な状況の中からあの大ヒット作が生まれたとか。 エッセイとしてのバランスも良くて、深い思考と軽妙な語り口が心地よく混在している。著者の人間らしさ、迷いながらも前に進む姿勢が素直に伝わってくる。完全版ということで未収録部分も含まれているようですが、その分だけ人生の厚みを感じられるかなと思います。気軽に読める一冊として、創作者じゃなくても何かのヒントをもらえそうな内容ですね。
2026年08月31日
東京大学出版会ということで、アカデミックな重厚さを期待して手に取りました。時間と進化というテーマは、複雑系やシステム思考に携わるエンジニアとしても興味深いトピックです。 ただ、読み進めてみると、期待していたような新しい知見や斬新な視点があまり得られませんでした。時間という概念と生物進化のメカニズムを扱っているのですが、各章が独立気味で、議論の流れが必ずしも明確ではないというのが正直な感想です。哲学的アプローチと科学的アプローチが混在しているのは興味深いのですが、その統合がやや不十分に感じられました。 専門書というわけではなく、一般向けの人文思想書という位置づけであれば、もう少し読みやすい構成や、より具体的な例を交えた説明があるとよかったと思います。著者の問題提起自体は価値あるものですが、それを読者にどう伝えるかという部分で工夫の余地があります。 決して悪い本ではありませんが、他にもっと秀逸な同テーマの著作を読んできた身としては、やや物足りなさが残ります。大学の研究に興味のある方には有用かもしれません。
2026年08月31日
住宅に関する知識を深めたいと思って手にした一冊です。公務員として、都市計画や建築関連の話題は仕事でも関わることがあるので、基礎的な理解があると良いだろうと考えていました。 本書は住宅という題材を、歴史・技術・生活文化など多角的に扱っています。その点は評価できますし、専門的な内容をある程度わかりやすく解説しようとした姿勢も感じられます。ただ、正直なところ、読んでいて心をつかまれるような新しい視点や深い洞察を得られたかというと、微妙なところです。 技術的な説明は充実していますが、やや教科書的で、エッセイのような人間味や、実際の住まい手の視点がもう少しあってもよかったかなという気がします。気軽に読む分には少し重いし、専門的に深掘りしたい人には物足りない――そんな印象です。 実用的な知識を身につけたい方には役立つと思いますが、私のように気分で読書を選ぶタイプには、もう一歩何かが足りないという感じでした。悪い本ではありませんが、強くお勧めするほどではないというのが正直な評価です。
2026年08月31日
8巻まで来て、このシリーズの魅力がさらに増している印象を持ちました。 エンジニアの仕事をしていると、論理的な問題解決や緻密な計画立案に頭を使うことばかりなので、こういった恋愛ストーリーを読むのは良いリフレッシュになります。本作のオリヴィアは、天才的な頭脳を持ちながらも恋愛に関しては不器用という設定が、非常に説得力があって面白い。仕事人間の自分としても、その心理状態がリアルに感じられます。 今巻は展開が予想外でした。婚約破棄というシリーズの重要なイベントが再び起こるという構成で、読者の予想を上手く裏切りながらも納得できるストーリー展開になっています。サイラス王子とオリヴィアの関係性の進展も丁寧に描かれていて、キャラクターの成長が見て取れるのが良い。 マンガ表現としても完成度が高く、表情や会話から登場人物の感情が伝わってきます。慎重派の自分としては、事前にレビューを確認してから購入するのですが、このシリーズは確実な満足度が期待できます。次巻も楽しみです。
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