ちょんまげ手まり歌

ちょんまげ手まり歌

上野瞭

出版社:中央公論新社 出版年月日:2026/02/20

中央公論新社 | 2026/02/20

4.33
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

1968年初刊のディストピア時代小説ということで、歴史的な価値と現代的な視点から興味を持って手に取りました。「やさしい殿さま」が統治する「やさしい村」という設定は、一見ユートピアを装いながら、その裏側を問い直す——という構造は、プログラミングでいう表層と本質の矛盾を扱う難題に通じるものがあります。 読んでみると、確かに児童文学の枠を超えた問題提起があります。ただ、正直なところ、現代の読者にとってはやや説教的に映る箇所もありました。作品の歴史的意義は十分に理解できるのですが、情緒的な共感や物語への没入という点では、期待値よりも一歩引いた感じが残ります。 復刊企画として注目される理由は分かります。古典を再評価することは大切ですし、この作品が児童文学の歴史に刻んだ足跡も尊重します。ただ個人的には「なるほど、そういう意味があったのか」という知的な理解に留まってしまい、心が揺さぶられるような体験には至りませんでした。思想性と物語性のバランスについて、もう一度読み返してみる価値はあると思います。

感想

懐かしい本との再会です。児童文学と侮るなかれ—この作品は大人が読んでも唸る傑作です。 「やさしい殿さま」が統治する「やさしい村」という設定だけで、すでに仕掛けが見えている気がします。でも読み進むうちに、その単純な舞台装置がじつは奥深いテーマを問いかけていることに気づきます。当たり前だと思っていた暮らしへの疑問、管理される幸せの危うさ...1968年初刊というから驚きです。現代に通じるディストピアの要素が、時代小説の雰囲気とうまく融合しているんですね。 中学生のころ読んだ方も多いはず。あの時には理解できなかった部分が、いまなら違う視点で見える。仕事をしていると、「やさしさ」に隠された息苦しさって、実感としてわかってしまう年代です。だからこそ、この復刊は本当に意味がある。 手軽に読める文庫本サイズなのも良い。気軽に手にとって、でも考えさせられる—そういう読書体験って、実は大事だと思うんです。迷いなくおすすめです。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ