凍りのくじら
講談社 | 2008/11/01
みんなの感想
話題の『凍りのくじら』をようやく読み終わりました。辻村深月の最新作ということで期待していたんですが、期待以上でした。 父親の失踪、藤子・F・不二雄へのオマージュ、そして謎めいた青年との出会い――これらの要素が絶妙に絡み合う構成が秀逸です。特に高校生の理帆子が本の世界に逃げ込むことで心を守ってきた状況が、冒頭で丁寧に描写されているので、彼女の変化がすごく胸に響きました。 正直に言うと、中盤の展開では「ここからどう着地するんだろう」と不安もありました。でも読み進めていくと、著者が何を書きたかったのかが見えてきて、その意図が素晴らしい。SFとも感動エッセイとも違う、辻村さん独特の世界観がそこにある。 新社会人の今、仕事で疲れた心にこういう本は染みます。親世代と次世代の違い、そして本が持つ力についても考えさせられました。講談社文庫で手軽に読めるのも嬉しい。読むなら今がいいですよ。
慎重に本を選ぶ方なので、レビューの評判を見てから手に取ることが多いのですが、この作品は本当に良かった。64になって、こんなにも心が揺さぶられる小説に出会えるとは思いませんでした。 高校生の女の子が、図書館で出会った青年との関係を通じて、自分の内面と向き合っていく。一見、淡い青春小説のようですが、藤子・F・不二雄という要素が絡み合い、思わぬ深さへと引き込まれます。失踪した父との関係、本を通じた世界との繋がり方――こうしたテーマが、年を重ねた私にも共鳴するものがありました。 何より感心したのは、辻村深月さんの構成力です。物語が進むにつれて、点在していた要素が繋がっていく快感。ミステリーとしての仕掛けも見事で、推理小説好きな私も満足しました。文庫本で手軽に読めるのも嬉しい。 人生経験を重ねた今だからこそ、この物語の奥行きが理解できた気がします。同年代の方にも、若い方にもぜひ読んでいただきたい傑作です。
図書館での出会いから始まる青年とのストーリーということで、興味を持って読み始めました。藤子・F・不二雄への言及があるし、なんか深そうだなって思ってたんですよね。 実際に読んでみると、確かに世界観は独特で、登場人物たちの心理描写は繊細だと感じました。特に親子関係や、人とのつながりについて考えさせられる部分がありました。ただ、正直なところ、物語の進み方が自分には少しぴんとこないというか…。中盤以降、「警告」とか不思議な要素が入ってくるんですけど、そこの説明が曖昧に感じてしまって。 ライトノベルをよく読む僕からすると、もう少しテンポ感があったり、展開が明確だったりする方が好みです。ただ、評判も良いみたいだし、自分の好みと作品の質は別の話かもしれません。辻村深月さんの文章の丁寧さは伝わってきました。人によっては本当に好きになる作品だと思う。自分には合う合わないがあったってだけですね。
最近話題になっていると聞いて、さっそく手に取ってみました。辻村深月という作家さんの名前は前から知っていましたが、この『凍りのくじら』は確かに評判通りの良い作品ですね。 高校生の女の子と謎の青年の出会いから始まる物語なんですが、藤子・F・不二雄の作品への言及が随所に出てくるところが興味深い。自分たちの世代がドラえもんで育ったのと同じように、若い世代にとって漫画がどんな存在なのか、その心理描写が実に丁寧に描かれている。 何より惹きつけられたのは、物語全体を包む不思議な空気感です。ミステリーのような要素もありながら、決してそれだけに留まらない奥深さがある。年をとると新しい本を読むのもなかなかですが、この作品はぐいぐいと引き込まれてしまいました。 文庫本で手軽に読めるのも良いですね。まだお読みでなければ、ぜひ一度手に取ってみられることをお勧めします。現代の若い人たちの心模様を知る上でも、大変勉強になる一冊だと思いますよ。