感想
話題になっていたこの本、文庫化されたということで手に取ってみました。正直なところ、ここまで引き込まれるとは思いませんでした。 高校生の理帆子という少女が、図書館で出会った青年との関係を通じて、本当の「つながり」とは何かを問い直していく物語です。藤子・F・不二雄という名前が象徴的に使われているのが素晴らしい。ドラえもんのような「道具」への考え方が、この物語の深層にあるんですね。 何より驚いたのは、この本の構成の精密さです。一見すると不可解な警告や現象が、すべてが意味を持って収束していく快感。年を重ねると、こういう仕掛けの見事さが身に沁みます。 理帆子のように「本以外に本気で楽しいことがない」という心の状態から、少しずつ世界が光り始める様子が丁寧に描かれていて、思わず引き込まれました。幼い頃好きだったSF的な想像力と、大人になって得た人間への理解が融合した傑作だと思います。 最近の話題作の中でも、これは特に推したい一冊です。