きずもの

きずもの

西 加奈子

出版社:小学館 出版年月日:2026/09/30

小学館 | 2026/09/30

3.64
本棚登録:16人

みんなの感想

感想

5年ぶりの新作ということで、期待を持って手に取った。著者の前作「サラバ!」の圧倒的な人物描写の力が、ここでもいかんなく発揮されている。 幼馴染みという関係を軸に、時間とともに変わっていく人間関係の微妙さ、SNSという現代的な距離感、そしてバンクーバーという場所も含めて、複数の視点から人生が描かれていく構成が見事だ。自営業をしていると、自分自身もこうした人間関係の変化を肌で感じることが多い。懐かしい友人との関係が、いつの間にか歪んでいたり、予期しない形で繋がり直したり。そうした実感が、この作品の随所に息づいていて、本当に引き込まれた。 特に印象深いのは、登場人物たちが抱える「きず」が、決して修復されるものではなく、そのまま共存していく様子が描かれていること。人生というのは本来そういうものなのかもしれない。執筆に3年費やしたというだけあって、細部まで丁寧に書き込まれている。気軽に読むつもりが、深く考え込んでしまう一冊。間違いなく代表作の一つになると思う。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、待ちに待った長編小説です。話題になっているので手に取ってみましたが、期待を裏切らない作品でした。 松川貢と田持猛という幼馴染みの関係の逆転、そしてバンクーバーで展開する遥と万千花のストーリー。一見すると別々の人生が描かれているようですが、読み進めるうちに、絶望の中にも勇気を見いだそうとする人間の姿勢が浮かび上がってくる。この著者ならではの深い視点だと感じました。 執筆に3年費やされたというだけあって、登場人物たちの心情描写の丁寧さに引き込まれました。SNSを通じた現代的なつながりの描き方も新鮮です。時間とともに変わっていく人間関係の機微を、じっくりと味わえる。 派手な展開ではなく、静かに心に響く物語。57歳という年代だからこそ、人生の重さや選択の結果を思わずにいられません。これは何度も読み返したくなる一冊です。

感想

「サラバ!」の著者による新作ということで、期待して手に取ってみました。SNSで繋がり続ける幼馴染みや、海外での生活など、現代的なテーマが描かれているんだなって感じます。 正直に言うと、最初はすごく引き込まれるのかなと思ってたんですけど、読み進めるうちになんか微妙な感じに…。複数の人物の視点が交差する構成は面白いんですが、どの登場人物にもイマイチ感情移入できなくて。それぞれのエピソードは丁寧に描かれてるんだけど、全体としてつながりきっていないような、もやもやした感覚が残りました。 表紙の「絶望と勇気」というキャッチコピーは素敵だし、内容も決して悪くはないんです。ただ、期待値が高かった分、ちょっと物足りなかったというか…。高専の課題で忙しいから、もう一度ゆっくり読んでみたら印象が変わるかもしれないけど、今のところは「そこそこだった」という感じです。難しい本が好きな人なら評価が違うのかな。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、5年ぶりとなる長編小説ということで期待して手に取りました。正直なところ、評判だけで選ぶ慎重派の私ですが、この作品は期待を裏切りませんでした。 幼馴染み同士の二組の人物たちを軸に、時間の流れの中で変わっていく人間関係や立場を丁寧に描いている。特に興味深いのは、かつてのヒエラルキーが反転していく様子を、登場人物たちがどのように受け止めているのかという点です。SNSというツールを通じた繋がりと、実際の人生の変化が複層的に描かれていて、現代を生きる大人たちのリアリティを強く感じました。 技術的には、複数の視点から同じ時空を眺める構成が秀逸。エンジニア気質の私としては、このような構造設計に思わず唸ってしまいました。ただし、物語全体が内省的で瞑想的な雰囲気なので、テンポの良さを求める方には向かないかもしれません。 完成度の高さを感じさせる傑作です。少し時間をかけてでも、丁寧に読む価値のある一冊だと思います。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』の著者による5年ぶりの長編ということで、期待して手に取りました。幼馴染みたちの人生が時間とともに変化していく様子を描いた作品で、世代の変遷や関係性の微妙な移ろいについてじっくり考えさせられます。 ただ、正直なところ、どうしても心を掴まれる瞬間に辿り着けませんでした。登場人物たちの葛藤や成長は丁寧に描かれているのですが、その過程を追う喜びが薄い感じがします。もしかしたら、日々の生活に忙しい今の自分の心持ちの問題かもしれません。 執筆3年をかけただけあって、細部の描写や心理描写の繊細さは素晴らしいのです。ただ、全体として重たい空気が流れ続けるため、読了後の達成感よりも疲労感が残ります。好評の声も多いようなので、もしかしたら時間を置いて再び手にすれば、異なる感想を抱くかもしれません。今の評価は可もなく不可もなく、という印象です。

感想

直木賞受賞作で話題になってたから読んでみました。「サラバ!」の著者の新作って聞くと期待値が高くなっちゃうんですけど、正直なところ思ってたのとちょっと違う感じ? 小説家と運動得意な幼馴染み、それからカナダにいる親友とのルームシェア相手の話で、複数の関係性が絡み合うストーリーなんですけど、読んでいて「あ、ここいいな」って思う場面もあれば「え、そこ?」って感じる場面もあったり。時間をかけて執筆された作品だからか、深さはあるんだけど、すごく引き込まれるかっていうと微妙。 登場人物たちの心情の変化は丁寧に描かれてるし、大人たちの複雑な感情を読み取るのは勉強になります。ただ高校生の私からするとちょっと遠い世界に感じちゃって。もっと一気読みしたくなるような作品かと思ってました。普通に面白いんですけど、絶賛するほどではないかな、っていう印象です。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』の著者による5年ぶりの長編との触れ込みに惹かれて手に取りました。期待値が高かったぶん、正直なところ少し肩透かしを食らった印象です。 複数の登場人物の視点から時間軸を交錯させながら描かれる構成は興味深いのですが、各々のストーリーがなかなか噛み合わず、読み進めるうちに散漫な印象を持ってしまいました。SNSでの緩やかなつながりや、過去と現在の関係性の逆転といったテーマは現代的で共感できる部分もあるのですが、その掘り下げの深さが足りないように感じました。 会社員生活が長い身としては、人間関係の複雑さや人生の選択肢の多様性について考える余地はあります。ただ、物語全体としてのメッセージが今ひとつ明確でなく、読み終わった後に「それで?」という引っかかりが残ってしまったんです。 話題作だからこそ期待が膨らんでいたのかもしれません。もう一度じっくり読み直すと、異なる印象を持つかもしれませんが、初読の段階では満足度が低めです。

感想

孫の勧めで手に取った一冊です。直木賞作家の新作ということで、どんな話か興味津々でした。 読み始めてみると、登場人物たちの人生が時間をかけてゆっくりと交差していく様子が、なんともいえず心に残ります。幼なじみと大人になってから繋がり直す関係、遠く離れた地で新しい環境に飛び込む女性たち。誰もが人生のどこかで岐路に立たされ、選択を重ねていくんだなあと改めて思わされました。 さすが3年かけた力作だけあって、描写も丁寧で、一つひとつのシーンが活きています。読んでいて時間を忘れてしまいました。 最後まで読み切ると、登場人物たちが背負っていた重さと、その先にある光のようなものが見えてくる。そういう静かな感動を与えてくれる良い小説だと思います。パート帰りの疲れた体にも、心地よく沁みこんでくる作品でした。同年代の方にもぜひ読んでほしい一冊ですね。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、この作家の新作を待ち焦がれていた。5年ぶりの長編『きずもの』は、やはり期待を裏切らない傑作だ。 幼馴染みの二組が織りなす人生のドラマを、実に丁寧に紡ぎ出している。SNSで繋がり続ける関係性の描き方が、現代社会を生きる私たちの実感とぴったり重なる。かつて仰ぎ見た存在との逆転、そして新しい出会いと別れ—こうした人間関係の揺らぎが、深く静かに心に響く。 年を重ねた身にはなおのこと、人との繋がりの不確かさ、そしてそれでもなお歩み続ける勇気というテーマが胸に沁みる。執筆に3年費やしたというだけあって、一つ一つの場面、言葉選びに作家の執念が感じられた。決して派手ではないが、じっくり読み込む価値のある一冊。同世代の皆さんにもぜひ手に取っていただきたい。

感想

直木賞受賞作の著者による5年ぶりの長編ということで、かなり期待値を上げて手に取りました。その期待が見事に応えられた感動を、今でもしっかり感じています。 本書の魅力は、時間の流れの中で変わっていく人間関係をこんなにも繊細に描写できるところにあると思います。幼馴染みだった二人の立場がいつの間にか逆転している、その違和感と複雑さ。遠く離れた場所で新しい人生を歩む人たちの選択と覚悟。どのエピソードも他人事とは思えず、自分自身の人生と重ね合わせながら読み進めました。 39歳という年齢だからこそ、主人公たちの葛藤や後悔、そして前に進もうとする勇気がグッと心に響きました。絶望と勇気が肩を組んでやってくるという帯のフレーズ、その通りです。執筆に3年を費やした著者の覚悟が伝わってくる、本当に素晴らしい作品。慎重に本を選ぶ私だからこそ、自信を持ってお勧めできます。

感想

直木賞を受賞した「サラバ!」の著者による5年ぶりの新作ということで、期待を込めて手に取りました。複数の人物の人生が交差する物語という設定は興味深かったのですが、正直なところ、読み進めるのに疲れてしまいました。 登場人物たちの時間の流れを丁寧に描写しようという意図は理解できますが、その描き方がやや冗長に感じられます。SNSでゆるく繋がる関係性や、バンクーバーでのルームシェア生活など、現代的な要素は多いのに、それらがどう絡み合うのか、物語の核心がなかなか見えてこない。読んでいて「これからどこへ向かうのだろう」という不安感が拭えませんでした。 「絶望と勇気が肩を組んでやってくる」というキャッチコピーの世界観に惹かれていただけに、もう少し読者の心をつかむ展開や深さがあれば良かったと思います。期待値が高かった分、ギャップを感じてしまいました。

感想

話題になってから待ちに待った作品です。3年の執筆期間を経た『きずもの』、さすがの重厚さ。 幼馴染み同士の二つの物語が並行して進む構成が素晴らしい。松川貢と田持猛という、かつての上下関係が時間とともに逆転していく様子—それって本当にリアルですよね。SNSでつながり続けるというのも今の時代だからこその設定で、なんだか自分たちの世代の話を読んでいるような親近感があります。 バンクーバーのパートも魅力的で、地理的な距離があるのに関係性が深まっていく過程が丁寧に描かれている。「絶望と勇気が肩を組んでやってくる」という帯の言葉がぴったりで、読み進めるたびにその意味が腑に落ちてきます。 直木賞受賞作の『サラバ!』以来の長編ということで、著者の筆力の熟成を感じます。新社会人として人間関係の複雑さを実感し始めた時期に読めて良かった。時間をかけて読む価値のある一冊です。

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