lit_logの本棚
感想

5年ぶりの長編という触れ込みに期待して手に取った。直木賞受賞作『サラバ!』以来、著者の作品から目が離せないのだが、このたびもまた見事だ。 物語は一見、バラバラな登場人物たちの人生を追うようにして進む。だが読み進むうちに、時間の経過とともに関係性が複雑に絡み合い、やがて収斂していく構成の巧さに引き込まれる。SNSという現代的な装置を通じて緩やかに繋がり続ける人間関係の微妙な変化——それは我々フリーランスにとっても他人事ではない。 郷里の幼馴染みとの関係が逆転していくプロセスが特に心に残った。誰もが経験する「かつての自分」と「今の自分」のズレ。その違和感や後ろめたさが言語化される瞬間は、著者独特の繊細さが光っている。 絶望と勇気が肩を組んでやってくるという帯の言葉は大げさではない。読了後、しばらくこの物語の世界に浸っていたくなる。執筆に3年要したという納得の出来栄えである。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ