近藤の本棚
感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、5年ぶりとなる長編小説ということで期待して手に取りました。正直なところ、評判だけで選ぶ慎重派の私ですが、この作品は期待を裏切りませんでした。 幼馴染み同士の二組の人物たちを軸に、時間の流れの中で変わっていく人間関係や立場を丁寧に描いている。特に興味深いのは、かつてのヒエラルキーが反転していく様子を、登場人物たちがどのように受け止めているのかという点です。SNSというツールを通じた繋がりと、実際の人生の変化が複層的に描かれていて、現代を生きる大人たちのリアリティを強く感じました。 技術的には、複数の視点から同じ時空を眺める構成が秀逸。エンジニア気質の私としては、このような構造設計に思わず唸ってしまいました。ただし、物語全体が内省的で瞑想的な雰囲気なので、テンポの良さを求める方には向かないかもしれません。 完成度の高さを感じさせる傑作です。少し時間をかけてでも、丁寧に読む価値のある一冊だと思います。

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