君の話

君の話

三秋 縋

出版社:早川書房 出版年月日:2021/11/03

早川書房 | 2021/11/03

3.70
本棚登録:10人

みんなの感想

感想

最近の話題作だということで手に取った一冊だ。この著者の『三日間の幸福』は以前読んでいたので、どんな新作かと興味を持ったのだが、実に見事な仕上がりだ。 架空の青春時代の記憶を与えられた青年が、実在しないはずの人物と出会う——この設定だけで既に心を掴まれる。記憶と現実が揺らぐ感覚、それでも何かが確かに存在していた気がする、そうした人生を揺さぶるような問い掛けが全編に貫かれている。 年を取ると、記憶というものの曖昧さが身に沁みてわかるようになる。本当に起きたことと、思い込んでいることの区別がつかなくなることもある。この作品はそうした人間の本質的な課題に真摯に向き合っている。登場人物たちの切実な想いが丁寧に描かれ、物語が進むにつれ涙ぐまずにはいられなかった。 恋の物語とも言えるし、喪失と再生の物語とも言える。複雑で繊細な人間関係を美しい文章で紡いだ佳作だ。話題の本をチェックしている身として、これは読むだけの価値が十分にある。文庫化を待っていた人も多いだろう。心からお勧めできる一冊である。

感想

期待値が高かっただけに、ちょっと残念だった。『三日間の幸福』の著者ということで手に取ったんだけど、今回は設定の面白さに比べて、物語の展開が少し退屈に感じてしまいました。 架空の記憶と実在しないはずの人物との出会い——このコンセプト自体は本当に惹かれるんです。エンジニアとして、存在と記憶の問題には特に興味があるし。でも実際に読んでみると、その設定の可能性をうまく活かしきれていないような印象を受けました。 恋の物語として読むにしては、登場人物たちの心情描写がもう少し丁寧だったら良かったなと思います。短編集だからテンポを重視したんでしょうけど、読んでいて心がつかまれる瞬間があまりなくて。後半になっても、ああそう来たか、という納得はできても、心が揺さぶられる感覚には至りませんでした。 気軽に読む分には良い作品なんでしょうけど、著者の他の作品と比べると何かが足りない気がしてならないんです。もったいないなあと感じた一冊でした。

感想

著者の前作『三日間の幸福』が話題になっていたので、文庫化を機に手に取ってみました。 記憶と現実の乖離をテーマにした設定は興味深く、冒頭は引き込まれます。架空の青春記憶を持つ主人公と、実在しない幼馴染との出会いという構図は、確かに新鮮です。しかし読み進めるうちに、その世界観をどう解釈すればいいのか少し戸惑ってしまいました。 物語としての完成度は悪くないのですが、設定の面白さに比べると、感情的な深掘りがもう一段階欲しかったという印象です。エンジニアという職業柄、論理的な筋道を追いながら読むのですが、後半の展開に若干の説得力不足を感じてしまいました。 決して悪い作品ではありません。むしろ綺麗にまとまった恋愛小説だと思います。ただ、著者の実力を考えると、もっと心を揺さぶられるような何かがあってもよかったのではないかな、と。文庫版は読みやすいので、設定に惹かれる方であれば一読の価値はあると思います。

感想

著者の話題作がついに文庫化されたと聞いて、すぐに手に取りました。『三日間の幸福』も心に残る作品でしたが、これはまた違う魅力を持っていますね。 架空の記憶と現実が交錯する設定が秀逸です。孤独な主人公・千尋が、実在しないはずの幼馴染と出会う——この一見矛盾した状況が、読み進めるにつれて深く切実な問題へと変わっていきます。「君は、色んなことを忘れてるんだよ」という灯花の言葉が何度も心に引っかかりました。 自営業を続けていると、人間関係の複雑さや記憶の曖昧さについて考えることが増えます。この物語は、そうした日常では気づきにくい心の機微を丁寧に描き出しています。恋というシンプルなテーマでありながら、存在することの意味や、他者との繋がりについて深く問いかけてくる。 最後まで読むと、冒頭の一文の意味が全く違って聞こえてきます。その仕掛けの見事さに、良い小説との出会いの喜びを感じました。文庫化されたのは本当に嬉しい。話題になるだけの価値がある一冊です。

感想

SNSで話題になってたから気になって手に取ってみました。『三日間の幸福』の著者ということで期待値も高かったんですけど、正直なところ微妙でした。 架空の記憶と現実が絡み合うストーリー設定は面白いし、読み始めは引き込まれるんです。でも進んでいくにつれて、何か物語として散漫な感じがしてきちゃって。主人公の戸惑いや葛藤は伝わってくるんですけど、それが僕たちの心にどう響くべきなのか、ぼやけちゃってる気がします。 恋の物語として見ると、出会う前から続いていて始まる前に終わってるという設定は詩的で素敵だと思うんですが、実際に読むと感情移入するまでに距離がある感じ。もう少し登場人物の内面が深掘りされてたら良かったのかなって思います。 短編集みたいなテンポ感が好きな人には合うかもしれませんが、私は長編でじっくり世界に浸りたいタイプなので、物足りなさが残りました。つまりのところ、まあ普通、という感じです。

感想

話題作ということで期待して読み始めたのですが、正直なところ、ちょっと肩透かしな感じでした。 孤独な青年が架空の記憶を持つという設定は面白いし、実在しない幼馴染との出会いという展開も興味深いんです。ただ、読み進めていくと、その設定を活かしきれていないような印象を受けました。物語の核となるべき「忘れていることは何か」という謎解きの部分が、予想通りと言うか、もうちょっと意外性があってもいいんじゃないかなと思ってしまって。 著者の他の作品は映画化されるほど評価が高いようなので、相性の問題かもしれません。この作品が悪いわけじゃなくて、確実に手堅い構成だし、青春時代を描く部分も丁寧なんですよ。ただ新社会人の自分が読むには、もう少し心を揺さぶられるような要素が欲しかったというか…。 悪くはないけど、特別に心に残るものもない。そういう「可もなく不可もない」という感じですね。次は別の作品から試してみようかな。

感想

話題になっていたこの作品、ようやく文庫化されたタイミングで手に取りました。著者の前作『三日間の幸福』の独特な世界観が好きだったので、期待値は高かったのですが、今作も期待を裏切りませんでした。 架空の記憶と現実が交錯する設定、そこから生まれる青年と少女の不思議な出会いと関係性が、とても切実に迫ってくる。「出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた恋」というキャッチコピーが全てを物語っていますね。何度も読み返したくなるような、儚くて、でもどこか温かみのあるストーリー構成です。 主人公・千尋の違和感や戸惑いが丁寧に描かれていて、読んでいる自分も彼と一緒に物事の真実へ近づいていく感覚が心地良い。文庫版という手軽さも相まって、この季節に読むのに最適な一冊だと思います。SFのような、ファンタジーのような、でも最後には深く胸に残る―そんな作品に出会えるのは、読書の喜びそのものです。

感想

久しぶりに面白い小説に出会った。著者の他の作品は映画化もされているので名前は知っていたが、今回はその期待を上回る仕上がりだと感じる。 架空の記憶と現実が交錯する設定は、一見複雑かもしれないが、読み進めるうちにその巧みさが見えてくる。孤独な青年が実在しないはずの幼馴染と出会うという展開は、単なるファンタジーではなく、人間関係の本質的な部分に切り込んでいるように思える。 什么より心を掴まれたのは、登場人物たちの会話だ。二人の交わす言葉の端々に、作者の深い思考が感じられる。「君は、色んなことを忘れてるんだよ」というセリフから始まる物語は、単に懐かしさを呼び起こすのではなく、読者自身にも問いかけてくるようだ。 自営業で多忙な日々を送る身としては、こうした静かで内省的な作品は実に貴重だ。気軽に読める文庫本というフォーマットも、疲れた夜に手に取りやすい。最後まで一気読みしてしまった。不思議と余韻が残る良作だ。

感想

『三日間の幸福』の著者ということで期待して読み始めたんですが、正直なところ可もなく不可もなく、という感じでした。 偽りの記憶と実在しない人物との出会いという仕掛けは面白いんです。青春時代を植えつけられた主人公が、その記憶に繋がる人物と本当に出会う——その矛盾と不可思議さは惹かれました。ページをめくる手が止まらなくなる瞬間もあります。 ただ、物語が進むにつれて、その仕掛けの活かし方がもう一歩という印象を受けてしまいました。記憶や運命についての問い自体は深いんですが、展開としてはやや予想の範囲内に収まってしまう感じ。もっと意外性や深い余韻を期待していたぶん、読み終わったときにちょっと物足りなさが残りました。 文庫本のサイズ感は読みやすいし、短編としてはちょうどいいボリューム。気軽に読む分には十分楽しめる一冊だと思います。ただ、著者の前作を読んでいる人には、少し肩透かしになるかもしれません。

感想

最初は設定だけ聞いて「ん?どういうこと?」ってなったんですけど、読み始めたら一気に引き込まれました。架空の記憶を植えつけられた主人公と、実在しないはずの幼馴染との出会い、みたいな設定がすごく不思議で面白くて。 特に良かったのは、話が進むにつれて「あ、これってそういう意味なんだ」って謎が解けていく感じ。ミステリーっぽい要素があるから、展開が読めなくて最後までドキドキしながら読めました。キャラクターも魅力的で、二人の会話のテンポも気持ちいい。 ラノベとか漫画もよく読むんですけど、この本はそれらとは違う良さがあります。文章がちょっと大人っぽいけど、でも重すぎなくて心地よく読める感じ。恋愛とか青春とかそういった要素もありますが、それ以上に「記憶」や「出会い」っていうテーマの深さに引き込まれました。 文庫本だから電車の通学中にも読みやすいし、こういう作品をもっと読んでみたくなりました。絶対におすすめです。

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