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感想

この著者の作品は前に読んだことがあって、あの独特な世界観がすごく好きだったから、新作の文庫化を見かけたときはすぐに手に取りました。 正直なところ、最初は話の筋を追うのに少し戸惑いました。記憶と現実が交錯する設定って、読み始めは「ちょっと複雑だな」って感じたんです。でも読み進めるうちに、その違和感こそが物語の核なんだってわかってきて、ぐいぐい引き込まれました。 主人公の千尋と灯花の関係性がね、本当に切ないんですよ。存在しないはずの相手との出会いだなんて、説明だけ聞くと不思議だけど、ページをめくる手が止まりませんでした。青年の孤独さと、少しずつ紐解かれていく真実のバランスが絶妙です。 「出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた」なんて、こんなコピー思いつきませんよ。読み終わった後で、もう一度あの一文を読むと、じんわり心に響きます。ページ数も手頃だから、子どもたちが寝た夜にさっと読み終えられるのも、主婦としてはありがたい。久しぶりに、とても満足できる一冊でした。

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