五分後の世界
幻冬舎 | 1997/01/01
みんなの感想
五分のズレで別世界へ――そんなSF的な設定に惹かれて手にしてみました。 主人公が目覚めたのは、現実とは異なる歴史を歩んだ日本。戦後の日本がまったく違う道を進んでいるという想定は、想像力をかき立てられます。歴史冒険小説として、ぐいぐい引き込まれていく面白さがありますね。 家事の合間に読んでいたので、一気読みというわけにはいきませんでしたが、それでも続きが気になって、つい時間を見つけて読み進めてしまいました。戦闘シーンの臨場感や、登場人物たちの葛藤が丁寧に描かれていて、長編としての重みも感じられます。 ただ正直なところ、複雑に絡み合う設定や人物関係についていくのに少し頭を整理する必要がありました。でも、だからこそやり応えがあるんですよね。SF要素と歴史ロマンが絶妙に融合した作品で、気軽に楽しみつつもしっかり考えさせられる――そういう読書体験は好きです。 ボリュームもあるので、時間をかけてじっくり味わいたい一冊だと思います。
ここ数年、並行世界を舞台にした歴史冒険小説が人気だが、本作はその中でも異彩を放っている。五分のズレという小さな時間差が生み出す、もう一つの日本という設定が秀逸だ。 主人公の小田桐が気づくと泥濘を行進しているという冒頭から、この作品は独特の緊迫感に包まれている。戦後史が大きく異なった世界での日本という題材は、歴史に関心がある身としても非常に興味をそそられた。設定だけでなく、描写の迫力も素晴らしく、ページをめくる手が止まらなくなるほどの没入感がある。 さすが幻冬舎の本だけあって、エンタメ性と思想性のバランスが取れている。話題になるのも納得できる作品だ。ただ、ボリュームがある分、仕事で疲れた日は読み進めるのに時間がかかる。それでも、その疲労を吹き飛ばしてしまう魅力がある。 久しぶりに大長編を読み切った充足感を感じた。このジャンルに関心のある人はもちろん、ビジネス書ばかり読んでいる人にも、一度手にとる価値は十分あると思う。
文庫本のコーナーで目に留まったので、ついつい手に取ってしまいました。もう一つの日本という架空の世界設定、悪くない発想だなと思って読み始めたんです。 時間がずれた別の地球が舞台というのは、なかなか珍しい仕掛けですね。著者の想像力というか、そういった部分は感じられます。ただ、実際に読んでみると、戦闘シーンの描写が多くて、私のような年寄りには少し付いていくのが大変でした。派手な展開は次々と出てくるんですが、どうにも物語の中に引き込まれる感覚がなくてね。 特別につまらなかったわけではありませんし、最後まで読み通すことはできました。でも、読み終わった後に「ああ、面白かった」という満足感が、正直なところ薄かった。普通に楽しめる作品だとは思いますが、何度も読み返したくなるようなものではないかな、という感じです。気軽に読むにはいいかもしれませんね。
文庫本だから気軽に読めるだろうと手に取った一冊。パラレルワールドもの、それも戦後日本の歴史が大きく異なる世界という設定に引き込まれました。 ただ正直なところ、期待値と現実のギャップを感じずにはいられません。戦闘国家日本という独特の世界観は興味深いのですが、ストーリー展開がどこか予定調和というか、意外性に欠ける印象。主人公の時空のズレに気づいてから先の盛り上がりが、もう一段階欲しかった気がします。 描写自体は丁寧で読みやすいし、短編ではなく大長編としてのボリュームもあります。娯楽小説として軽く楽しむにはいいかもしれません。ただ、フリーランスでストレスが溜まる時期に読むなら、もっとガンガン引き込まれるような傑作を選んだ方が良さそうだな、と。 フリーランスの息抜きとしての読書には、もう少し何かスパイスが欲しいというのが、素直な感想です。
本屋でレビューが好評だったので手に取ってみました。五分時間がずれた別の日本という設定は興味深く、最初は引き込まれました。ただ、読み進めるうちに、戦闘や戦争の描写が思いのほか多く、74歳の身には少々重たく感じてしまいました。 物語の構想は悪くないのですが、中盤から後半にかけて、独特の世界観の説明が複雑になり、正直なところついていくのに疲れてしまいました。エッセイや柔らかい小説に慣れている私には、このような歴史冒険小説の厚みと濃密さが、むしろ負担になってしまったようです。 文庫本ということで読みやすさを期待していたのですが、やはり腰を据えて集中力を保つ必要がありました。若い頃ならば楽しめたかもしれません。丁寧な構成ではあるのですが、万人向けとは言いがたく、戦国冒険譚が好きな方向けの一冊なのだと思います。
このタイプの冒険小説は正直なところ、事前に口コミをしっかり確認してから読む派なのですが、今回は思い切って手に取って大正解でした。 「五分後の世界」は、パラレルワールドという設定ながら、その世界観がきちんと構築されていて引き込まれます。主人公が突然、時空のズレた地球に迷い込むという冒頭は少し唐突に感じるかもしれませんが、そこからの物語の展開は本当に鮮烈です。異なる歴史を歩んだ日本という舞台設定が、知的好奇心をくすぐられます。 新社会人として忙しい毎日ですが、この作品は長編ながらもページをめくる手が止まりません。世界観に没入できる力強い描写と、緻密な設定が光っていますね。戦国のような緊張感が続く中でも、人間関係の深さが感じられる部分が個人的には特に好きです。 長さが気になるという評価も見かけましたが、こういう壮大な物語だからこそ、この分量が必要なんだと読了後に納得しました。冒険譚が好きな方にはぜひ推奨したい一冊です。
最近、書店で『五分後の世界』を見かけて、このタイトルに惹かれずにはいられませんでした。五分というごく短い時間のずれが、歴史全体を変えてしまうという設定が面白そうで、手に取ってみたのです。 読み始めると、その期待は見事に裏切られ、いい意味で大きく上回りました。パラレルワールドという題材は目新しくはありませんが、この作品で描かれる別の日本の歴史は、極めて興味深く、緻密に構築されています。戦後の歴史が全く異なる方向へ進んだ世界での葛藤と戦い。主人公がどのような選択を迫られるのか、その過程は一気読み必至です。 著者の歴史的知識の深さが感じられ、単なるエンタメにとどまらない作品という印象を受けました。装甲車行進のシーンから始まる独特の世界観に引き込まれ、最後まで目が離せませんでした。現在の日本に生きる私たちにとって、歴史について改めて考えさせられる機会になる一冊だと思います。話題作として注目されるだけの価値が、確かにあります。