十角館の殺人 <新装改訂版>
講談社 | 2007/10/01
みんなの感想
新本格ミステリの源流として評価が高い作品だったので、慎重に手に取ってみました。 孤島の十角館に集められた大学ミステリ研究会のメンバーが次々と殺されていく―という設定自体は興味深く、序盤の緊張感は確かに感じられます。登場人物たちの関係性や背景の描き方も丁寧で、ページをめくる手が進みました。 ただ、終盤の「驚愕の結末」に関しては、個人的には率直に言って期待値ほどの衝撃は受けませんでした。仕掛けそのものは凝っていますが、読んでいて若干の違和感をぬぐえず、腑に落ちない部分があります。新作発表当時は革新的だったのかもしれませんが、今読むと時間が経った分、新鮮さが損なわれている印象も否めません。 ミステリ好きなら読んでおく価値はあると思いますが、この作品が必読の傑作かというと、個人的には慎重に推奨したいところです。時間をかけて読むなら、事前の情報収集をしっかりしておくことをお勧めします。
エンジニアとして論理的思考を心がけているせいか、ミステリ小説では「謎の提示から解答までの論理の一貫性」をついつい厳しく評価してしまう。そんな自分だからこそ、この作品の完成度に心底感服した。 1987年の刊行以来、今なお名作と称される理由がよく理解できる。孤島の館という古典的な舞台設定を借りながら、緻密に構築された謎解きの構造は見事の一言。登場人物たちが提示する情報の積み重ね、読者が見落としやすい細部への仕掛け、そして最終的な反転。すべてが計算し尽くされている。 プログラムを書くときのような「バグを完全に潰す」という感覚に近い、徹底した完璧さがここにはある。新本格ミステリの源流と評されるのも納得だ。正直、途中で複数の犯人仮説を立てては打ち砕かれ、気づけば徹底的に翻弄されていた。 慎重に本を選ぶ方なら、このレビュー群を頼りに手に取る価値は十分にある。ミステリ好きはもちろん、そうでない読者にとっても、小説として完成された傑作を体験できるはずだ。
1987年の初版刊行以来、ミステリ好きの間で伝説的な作品として語られ続けてきた『十角館の殺人』をようやく読破した。フリーランスという職業柄、時間の融通は利くはずなのに、なぜか手を出しそびれていた一冊である。 実際に読んでみると、その評判の理由が即座に理解できた。孤島の奇妙な館へ招かれた大学ミステリ研究会のメンバーたちが、次々と殺人の犠牲になっていくという基本的な設定自体は、一見すると既知のものに思える。しかし綾辻行人の筆致は緻密で、読者は物語に深く引き込まれていく。 何より秀逸なのは結末だ。ここで言及することはできないが、これまで読んできた数多くのミステリの中でも、類稀なる構想と完成度である。37年前の作品とは思えないほど鮮烈で、新本格ミステリの源流がいかに質の高いものであったかを改めて認識させられた。 文庫版としての新装改訂版も読みやすく、この傑作に触れるなら今がむしろ最適のタイミングだろう。ミステリ愛好家のみならず、一般的な読書家にも強く推薦したい。
名作と名高い本書をようやく手にしてみました。確かに構成の巧妙さと、仕掛けの大胆さは印象的です。ただ、正直なところ現在の視点から読むと、いくつか引っかかる点があります。 まず、登場人物たちの行動理由が時々無理矢理に感じられました。特に緊迫した状況下での判断が、後付けのように見えてしまう場面がありました。また、描写が冗長な箇所も多く、働く身としては読み進めるのに時間がかかってしまいました。 新装改訂版とのことですが、改訂のポイントがどこかはっきり分からず、古さを払拭しきれていない印象も受けました。ミステリの歴史的価値は理解しますが、娯楽として現在の自分が心から楽しめたかというと、微妙です。 注目作として一度は読むべき本かもしれませんが、期待値が高すぎるとがっかりするかもしれません。慎重に情報収集してから手に取ることをお勧めします。
仕事の合間に一気読みしてしまいました。こういう昭和のクラシックなミステリって、実は初めてちゃんと読んだんですけど、なるほど名作と言われる理由がわかります。 孤島の館という設定だけでも引き込まれるのに、登場人物たちが次々と消えていく恐怖感がたまりません。公務員という堅い仕事をしているので、こういう予測不可能な展開はストレス解消になります(笑)。途中で「こんな展開あり?」って何度も思わせられて、本当に最後まで気が抜けません。 特に良かったのは、謎解きの爽快感です。終盤で「あ、そういうことか!」って納得できる感じ。複雑だけど不誠実じゃない、ちゃんと読者に信号を送ってくれる設計だなって感じました。新装版ということで読みやすさも工夫されてるのかな、と思います。 いま周りの友人に勧めまくってます。ミステリ好きじゃない人にもこの面白さは伝わると思いますよ。懐かしくて新しい、そんな一冊です。
最近、孫が「これは日本推理小説史に残る傑作だ」と勧めてくれたのが本書です。1987年の初版以来、ずっと話題になり続けているというのに、これまで手に取らなかったのは正直な失敗でした。 孤島の十角形の館に集められた大学生たちが、次々と殺されていく。設定だけ聞くと、よくある密室トリックものかと思っていました。ところが、読み進めるにつれ、この物語がそんな単純なものではないことに気づきます。著者の周到な伏線、登場人物たちの会話に隠された意味、そして何より予想外の結末。 80年も生きていると、ミステリ小説も数多く読んできましたが、ここまで見事に騙されるのは久しぶりです。新装改訂版ということで活字も読みやすく、昔の作品とは思えないほど今なお新鮮な魅力を放っています。 話題の本をチェックするのが好きな私ですが、こういう古い傑作をあらためて発掘する喜びもまた格別。本格ミステリの源流を体験できる素晴らしい一冊です。