近藤の本棚
感想

レビュー欄で高い評価を見かけたので、興味を持って手に取った一冊です。 異なる背景を持つ二人の女性の関係を通じて、言語を超えた理解の難しさと、それでも誰かとつながりたいという切実な想いが丁寧に描かれています。エンジニアとして論理的に物事を考えることが習慣の私にとって、この小説の曖昧さや揺らぎの中にある真実は、読み進むにつれてじわじわと心に沁みてきました。 特に印象的だったのは、言葉を扱う仕事をしているはずの主人公が、最も大切な人の心が見えていないというアイロニー。自分たちも無意識のうちに相手を完全に理解できていないのだと気づかされます。翻訳家でもある著者だからこそ、言語の限界と可能性の両方をこれほどまでに繊細に表現できるのだと感じました。 完璧な解決や納得のいく答えを期待して読むと、もしかしたら物足りなさを感じるかもしれません。でも、その曖昧さこそが、人間関係の本質なのではないかと思わされる——そういう奥深さのある作品です。

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