spring

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恩田 陸

出版社:筑摩書房 出版年月日:2024/03/22

筑摩書房 | 2024/03/22

4.33
本棚登録:3人

みんなの感想

本屋大賞ノミネート作ということで、いくつか口コミを読んでから購入を決めました。正解でした。 バレエという非日常的な世界を舞台にしながら、天才とは何か、表現とは何かという根源的な問いに向き合った作品です。主人公・萬春の人生を八歳から追っていく構成が素晴らしく、各章で異なる視点から彼の姿が立体的に浮かび上がっていく快感があります。 フリーランスの自分としても、自分の仕事の価値を問い直す主人公の葛藤が響きました。「俺は世界を戦慄せしめているか?」というシンプルながら切実な問いが、読み進むほどに重くなっていく。創作に携わる人間なら、誰もが感じたことのある迷いや不安がそこにはあります。 描写が圧倒的です。バレエの動きを言葉で表現する難しさがあるはずなのに、著者は見事にそれを越えている。十年の執筆期間が納得できるほどの完成度です。 同じ著者の『蜜蜂と遠雷』も読んでいますが、この作品は更に洗練されているような気がします。表現者を描く小説として、これは傑作です。

本屋大賞ノミネートということで手に取った『spring』ですが、期待を上回る傑作でした。 『蜜蜂と遠雷』で直木賞と本屋大賞をW受賞した著者による、10年の構想・執筆という渾身の一作。バレエという一見すると限定的なテーマながら、その表現世界の奥深さに引き込まれます。 主人公・萬春という無二の舞踊家の人生を、関わる様々な人物の視点から描いていく手法が秀逸です。踊り手、振付家、観る者、音楽家ーー異なる立場の者たちの情熱がぶつかり、交錯する様が見事に描写されており、読んでいて自分も舞台の上にいるような臨場感を感じます。 仕事で疲れた日々の中で、人間の創造への執念、完璧を求める情熱、そして「世界を戦慄させたい」という切実な願いを追い続ける主人公の姿に、何度も心を揺さぶられました。43歳の今だからこそ、人生とは何か、表現とは何かを深く考えさせられます。 年末年始の大型連休で一気読みしてしまいました。今年の本屋大賞がどうなるのか、本当に気になります。