智子の本棚
感想

本屋大賞のノミネート作ということで手にしたのですが、期待値を大きく上回る傑作でした。バレエという一見難しいテーマながら、物語の入り込み方が本当に自然で、一気読みしてしまいました。 主人公の萬春という舞踊家の人生を、彼と関わるさまざまな表現者たちの視点を通じて描く構成が秀逸です。『蜥蜂と遠雷』を思わせる、才能と執念が交錯する世界観。バレエの動きそのものが紙面から立ち上がってくるような、そんな感覚さえ覚えました。 自営業をしていると、自分の「表現」とは何かをよく考えるようになるのですが、この作品はそうした問いへの一つの答えをくれた気がします。芸術の世界に限らず、何かを極めようとする人間の覚悟や迷い、その先にある美学—それがこれほどまで深く描かれているなんて。 10年の構想・執筆の重みがしっかり感じられる完成度の高さ。今年のノミネート作の中でも、特に話題になるに値する一冊だと思います。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ