銀のギターのジョン〜悪魔なんかこわくない[増補版]
マンリー・ウェイド・ウェルマン / 深町 眞理子 / 健部 伸明 アトリエサード 2026年2月10日
最近、ホラーやダークファンタジーの翻訳短篇集がトレンドになってきているなと感じていたので、この作品にも興味を持ちました。実際に読んでみて、その魅力の理由が良くわかりました。 マンリー・ウェイド・ウェルマンの「銀のギターのジョン」は、素朴なようでいて奥深い連作短篇の世界観が素晴らしい。流浪のギター弾きが古きものたちと対峙する各エピソードは、民俗学的な興味深さとサスペンスが程よく混在していて、一気読みしてしまいました。 特に印象的だったのは、ホラー要素よりも人間ドラマやアメリカン・フロンティアの空気感が息づいているところ。怖さだけに頼らない、言葉と音で悪に対抗するというコンセプトも斬新です。翻訳の質も高く、原文の雰囲気がきちんと日本語で表現されているのが感じられます。 若干、短篇によって濃淡があるため満点ではありませんが、ホラー好きはもちろん、アメリカン・クラシック文学に興味のある人にも十分おすすめできます。話題作として確認する価値、ありますね。
最近登録された他の本の感想
2026年06月11日
江戸時代の忍者が副業で生計を立てるという、なんとも現代的なテーマに惹かれて手に取りました。自営業の身として、「禄だけでは足りず内職に励む」という設定に思わず苦笑い。忍術という特殊技能を持ちながらも、それを活かせずにいる歯がゆさが、実際の人生とどこか重なるんです。 弥九郎たちの個性的なキャラクター配置も秀逸。打鉤、占術、火薬とそれぞれ異なる技能を持つ三人が、将軍のお世継ぎ警護という大役に抜擢される緊張感がたまりません。普段は地味な番所の仕事なのに、ここから何が起きるのか。上巻という制限の中でも、物語がしっかり構築されているのが好印象です。 江戸文化への知識や雰囲気づくりも丁寧で、平和な時代だからこそ隠されていた力が必要とされる矛盾が、人間ドラマとして響いてきます。下巻が気になって仕方ありません。シリーズ化される予感もあり、今年の話題作として見逃せない一冊になりそう。
2026年06月10日
懐かしさと新鮮さが混在する一冊でした。子どもの頃から追い続けている『ガラスの仮面』ですが、46巻ともなると登場人物たちの人生がより複雑に絡み合ってきたんだなと実感させられます。 今回は亜弓の視力という新たな課題が浮上し、同時にマヤと速水真澄の関係にも波乱が起きるという、複数の困難が同時進行する展開。昔ながらの少女マンガの王道ですが、36年連載が続く作品だからこそ説得力があるんでしょう。 ただ、正直なところ物語のテンポについていくのに疲れを感じてしまいました。各キャラクターの葛藤や成長を丁寧に描くのは魅力なのですが、一冊のボリュームの中では「え、この話まだ続くの?」という感覚が否めません。自営業の私としても、定期的に読み続けるには心身の余裕が必要だと改めて認識しました。 ファンは確実に満足する内容だと思いますが、新規読者が飛び込むには難しい段階に来ているかなというのが率直な感想です。
2026年06月10日
『悪人』『怒り』を読んだ時の興奮を期待して手に取ったのですが、正直なところ、今作はちょっと期待値を下回ってしまいました。 下巻ということもあって、上巻を読んでいない状態での評価になってしまったのが申し訳ないのですが、登場人物たちへの感情移入が難しく感じられました。芝居に人生をかける男たちの執念や美学については理解できるのに、どうにも物語に引き込まれきれないというか。1964年の長崎から東京オリンピック後への時間軸は興味深いのですが、その歴史的背景が物語とどう絡み合うのかが、今ひとつぼんやりしてしまったんです。 書きぶりの密度は相変わらず凄いのですが、ボリュームに対して物語としての満足度がバランスしていないように感じました。自営業で忙しい身としては、やはり没入感がないと長編に時間を割く気力が湧きません。話題作ですし、上巻から読めば違う感覚かもしれませんが、純粋な読書体験としてはもう少し工夫があってほしかった。
2026年06月06日
自営業をしていると、思わぬトラブルに巻き込まれることがありますよね。契約書のチェックや従業員との関係、消費者保護法など、日々の業務で法的知識が必要になる場面が増えてきました。そこで話題になっていたこの公式問題集を手に取ってみました。 実際に使ってみると、2級のレベルは自営業者にぴったりだと感じます。難しすぎず、実務で本当に役立つ内容が厳選されている印象です。特に良かったのは、公式テキストとの完全準拠で体系的に学べること。過去問も充実していて、出題傾向が一目瞭然です。 新搭載のアプリも優秀で、スキマ時間に気軽に復習できるのは忙しい自営業者にとって本当にありがたい。トレンド的にも法務知識を持つことは今のビジネス環境では必須だと思います。 正直、問題集としての完成度の高さに驚きました。試験対策はもちろん、実際の業務判断を助ける参考書としても活用できる実用性がある。自営業者なら持っておいて損のない一冊です。
2026年06月01日
新NISAが始まったので、この話題の改訂版を手に取ってみました。正直なところ、期待値が高かっただけに少し肩透かしを食らった感じです。 「ほったらかし」という謳い文句は魅力的で、自営業で忙しい身としては興味をそそられたのですが、内容を読み進めると既知の情報がほとんど。インデックス投資そのものについては、もはや常識化しているアプローチで、目新しさがありません。 口座開設から実行までのステップは丁寧に説明されているのは評価できますが、初心者向けという謳い文句の割に、投資の心理的ハードルについての記述が浅いように感じました。自営業だからこそ、収入が不安定な時期の投資判断についても、もっと深掘りしてほしかった。 また、この本の「公式本」という位置づけが若干引っかかります。話題性で売っているのではないか、という疑念がぬぐえません。7年ぶりの改訂と聞いて期待しましたが、修正というより小刻みな調整程度の印象です。 投資初心者には悪くない入門書ですが、既に基本知識がある人には物足りないでしょう。
2026年06月01日
SNSで話題になっているのを見かけて、思わず手に取ってしまいました。正直なところ、こういった「不思議な設定の物語」って読む前は懐疑的だったんですが、これは本当に良かった。 喫茶店フニクリフニクラに訪れた四人の女性たちが、それぞれ過去に戻りたい理由を抱えている。その動機が家族のことだったり、恋愛のことだったり、人間関係だったり。年代も事情も違う女性たちの物語が、ゆるやかに交差していく感じが素敵です。 自営業をしていると、後悔や「あの時こうしていれば」という思いに駆られることが多いんですよ。だからこそ、この作品のテーマが心に響きました。派手な冒険譚ではなく、日常の中にある小さな喜びや痛みを丁寧に描く。その温度感が本当に好きです。 ただ一つ、もう少し深掘りしてほしかったキャラクターもいたかなというのが、満点にならなかった理由。それでも、多くの人が共感できるストーリーに仕上がっていますし、読み終わった後、今を大切にしようという気持ちになれます。
2026年06月01日
芥川賞受賞作ということで、ちょうど話題になっている時期に読んでみました。正直、この「割りに合わなさ」の感覚がすごく刺さりました。 自営業をしていると、どうしても「いい顔」をしなければならない場面が多くて。でも読んでいて思ったのは、著者が描いている「いい子」って、実は一種の自己防衛なんじゃないかということ。無意識にそうしちゃう、というその感覚が、すごくリアルに伝わってくるんです。 収録されている複数のエッセイを通じて、日常のちょっとした違和感や不満、そして理不尽さが積み重なっていく様子が丁寧に描かれています。大きな事件が起こるわけではないのに、読んでいるとモヤモヤした気持ちが残る。それが狙いなんだろうなと感じました。 社会人として、そこそこうまくやれている自分だからこそ、この本で指摘されている「本当は疲れているのに、それを認められない」という葛藤がよくわかりました。話題作として読む価値は十分にあります。
2026年05月06日
SNSで話題になっていたので、ついつい手に取ってしまいました。ベルリンの弁護士が扱った九つの事件を描いた連作短編集ということで、かなり期待値が高かったんですよね。 実際に読んでみると、確かにミステリ部分はしっかり構成されていて、謎解きとしての完成度は高いです。各編を読み進める面白さもある。ただ、個人的には「凄い!」という驚きまでは至らなかったというのが正直なところ。 事件の真相が明かされた後の「真の物語」というコンセプトは魅力的なんですが、それが毎回活きてくるわけではなく、やや期待値とのズレを感じました。自営業で忙しい日常の中で読み進める分には十分なエンタメ性はありますし、構成も巧い。ただし、話題作だからこそ、もう少し破格の面白さを期待してしまったのかもしれません。 良質なミステリではあるけれど、万人が絶賛する理由はやや掴みきれず。これはあくまで個人の感覚なので、好みが合えば大いに楽しめる一冊だと思います。
2026年05月06日
自営業をしていると、従業員のメンタルヘルスについて真剣に考える機会が増えてきました。この本は労働者側の視点で労災におけるメンタル疾患を解説しているとのことで、手にとってみました。 確かに、精神障害の労災認定基準から申請手続、損害賠償請求まで、必要な情報がコンパクトにまとめられています。書式のひな型も実務的で参考になる部分は多いです。ただ、実務家向けシリーズということもあり、やや専門用語が多く、法律知識がない自分にとっては若干読みづらい箇所もありました。 個人的には、もう少し事例ベースの説明が増えていれば、より実場面での判断に役立てやすかったのではないかと感じます。とはいえ、基本的な枠組みや制度を理解するには十分な内容。経営者側の視点でも、従業員のメンタル不調にどう向き合うべきかを考える上では、対立構図だけでない理解が必要だと改めて認識させられました。専門性が高い分、限定的な読者層向けという印象です。
2026年05月06日
朝井リョウの新作が話題だったので、さっそく手に取りました。『正欲』以来3年半ぶりということで、期待値も高かったのですが、見事に応えてくれた一冊です。 この作品の最大の魅力は、その斬新な視点。ヒトのオス個体という、通常の小説ではまずお目にかかれない観点から物語を紡いでいく手法には、正直驚きました。新宿の量販店というありふれた舞台が、こんなにも興味深い空間に変わるんだとは。著者の創造力の凄さを改めて認識します。 自営業をしていると、人間関係や社会との繋がり方について考えることが多いのですが、この本はそういう根本的な問いを、極めてユニークな方法で提示してくれています。「寿命を効率よく消費する」というフレーズも印象的で、読み進めるにつれ、その意味の重みが増していく。 ページをめくる手が止まらなくなる面白さではありますが、思考を巡らせながら読む必要がある作品です。トレンド性と文学的な深さを兼ね備えた、さすが朝井リョウといった傑作だと思います。
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