いい子のあくび

いい子のあくび

高瀬 隼子

出版社:集英社 出版年月日:2023/07/05

集英社 | 2023/07/05

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

芥川賞受賞第一作ということで、話題になっているこの作品をようやく手に取りました。 「いい子」として生きることの息苦しさ、そしてそこに潜む違和感。表題作を始めとした短編集なのですが、どの作品も日常の中に隠れた不協和音を見事に浮き彫りにしています。特に印象的だったのは、著者が「人より少し先に気づくタイプ」と自認するキャラクター造形です。良いことをするのに躊躇がないのに、その行為が「割に合わない」と感じてしまう主人公たち。その複雑な心理状態がリアルに描かれている。 41歳になると、仕事でも人間関係でも「いい人でいること」の疲労感が身に沁みます。それを言語化し、ユーモアを交えて描いた著者の視点は秀逸だと感じました。ただ、短編集という形式上、若干の物足りなさは残ります。深掘りしたいと思わせる作品が多いぶん、もう少し長くても良かったかなと。 それでも、現代を生きる私たちの違和感を鮮やかに切り取った傑作だと思います。話題作の評判に納得できた一冊です。

感想

芥川賞受賞作ということで、ちょうど話題になっている時期に読んでみました。正直、この「割りに合わなさ」の感覚がすごく刺さりました。 自営業をしていると、どうしても「いい顔」をしなければならない場面が多くて。でも読んでいて思ったのは、著者が描いている「いい子」って、実は一種の自己防衛なんじゃないかということ。無意識にそうしちゃう、というその感覚が、すごくリアルに伝わってくるんです。 収録されている複数のエッセイを通じて、日常のちょっとした違和感や不満、そして理不尽さが積み重なっていく様子が丁寧に描かれています。大きな事件が起こるわけではないのに、読んでいるとモヤモヤした気持ちが残る。それが狙いなんだろうなと感じました。 社会人として、そこそこうまくやれている自分だからこそ、この本で指摘されている「本当は疲れているのに、それを認められない」という葛藤がよくわかりました。話題作として読む価値は十分にあります。

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