SNSで話題になっているのを見かけて、思わず手に取ってしまいました。正直なところ、こういった「不思議な設定の物語」って読む前は懐疑的だったんですが、これは本当に良かった。 喫茶店フニクリフニクラに訪れた四人の女性たちが、それぞれ過去に戻りたい理由を抱えている。その動機が家族のことだったり、恋愛のことだったり、人間関係だったり。年代も事情も違う女性たちの物語が、ゆるやかに交差していく感じが素敵です。 自営業をしていると、後悔や「あの時こうしていれば」という思いに駆られることが多いんですよ。だからこそ、この作品のテーマが心に響きました。派手な冒険譚ではなく、日常の中にある小さな喜びや痛みを丁寧に描く。その温度感が本当に好きです。 ただ一つ、もう少し深掘りしてほしかったキャラクターもいたかなというのが、満点にならなかった理由。それでも、多くの人が共感できるストーリーに仕上がっていますし、読み終わった後、今を大切にしようという気持ちになれます。
最近登録された他の本の感想
2026年06月01日
新NISAが始まったので、この話題の改訂版を手に取ってみました。正直なところ、期待値が高かっただけに少し肩透かしを食らった感じです。 「ほったらかし」という謳い文句は魅力的で、自営業で忙しい身としては興味をそそられたのですが、内容を読み進めると既知の情報がほとんど。インデックス投資そのものについては、もはや常識化しているアプローチで、目新しさがありません。 口座開設から実行までのステップは丁寧に説明されているのは評価できますが、初心者向けという謳い文句の割に、投資の心理的ハードルについての記述が浅いように感じました。自営業だからこそ、収入が不安定な時期の投資判断についても、もっと深掘りしてほしかった。 また、この本の「公式本」という位置づけが若干引っかかります。話題性で売っているのではないか、という疑念がぬぐえません。7年ぶりの改訂と聞いて期待しましたが、修正というより小刻みな調整程度の印象です。 投資初心者には悪くない入門書ですが、既に基本知識がある人には物足りないでしょう。
2026年06月01日
芥川賞受賞作ということで、ちょうど話題になっている時期に読んでみました。正直、この「割りに合わなさ」の感覚がすごく刺さりました。 自営業をしていると、どうしても「いい顔」をしなければならない場面が多くて。でも読んでいて思ったのは、著者が描いている「いい子」って、実は一種の自己防衛なんじゃないかということ。無意識にそうしちゃう、というその感覚が、すごくリアルに伝わってくるんです。 収録されている複数のエッセイを通じて、日常のちょっとした違和感や不満、そして理不尽さが積み重なっていく様子が丁寧に描かれています。大きな事件が起こるわけではないのに、読んでいるとモヤモヤした気持ちが残る。それが狙いなんだろうなと感じました。 社会人として、そこそこうまくやれている自分だからこそ、この本で指摘されている「本当は疲れているのに、それを認められない」という葛藤がよくわかりました。話題作として読む価値は十分にあります。
2026年05月06日
SNSで話題になっていたので、ついつい手に取ってしまいました。ベルリンの弁護士が扱った九つの事件を描いた連作短編集ということで、かなり期待値が高かったんですよね。 実際に読んでみると、確かにミステリ部分はしっかり構成されていて、謎解きとしての完成度は高いです。各編を読み進める面白さもある。ただ、個人的には「凄い!」という驚きまでは至らなかったというのが正直なところ。 事件の真相が明かされた後の「真の物語」というコンセプトは魅力的なんですが、それが毎回活きてくるわけではなく、やや期待値とのズレを感じました。自営業で忙しい日常の中で読み進める分には十分なエンタメ性はありますし、構成も巧い。ただし、話題作だからこそ、もう少し破格の面白さを期待してしまったのかもしれません。 良質なミステリではあるけれど、万人が絶賛する理由はやや掴みきれず。これはあくまで個人の感覚なので、好みが合えば大いに楽しめる一冊だと思います。
2026年05月06日
自営業をしていると、従業員のメンタルヘルスについて真剣に考える機会が増えてきました。この本は労働者側の視点で労災におけるメンタル疾患を解説しているとのことで、手にとってみました。 確かに、精神障害の労災認定基準から申請手続、損害賠償請求まで、必要な情報がコンパクトにまとめられています。書式のひな型も実務的で参考になる部分は多いです。ただ、実務家向けシリーズということもあり、やや専門用語が多く、法律知識がない自分にとっては若干読みづらい箇所もありました。 個人的には、もう少し事例ベースの説明が増えていれば、より実場面での判断に役立てやすかったのではないかと感じます。とはいえ、基本的な枠組みや制度を理解するには十分な内容。経営者側の視点でも、従業員のメンタル不調にどう向き合うべきかを考える上では、対立構図だけでない理解が必要だと改めて認識させられました。専門性が高い分、限定的な読者層向けという印象です。
2026年05月06日
朝井リョウの新作が話題だったので、さっそく手に取りました。『正欲』以来3年半ぶりということで、期待値も高かったのですが、見事に応えてくれた一冊です。 この作品の最大の魅力は、その斬新な視点。ヒトのオス個体という、通常の小説ではまずお目にかかれない観点から物語を紡いでいく手法には、正直驚きました。新宿の量販店というありふれた舞台が、こんなにも興味深い空間に変わるんだとは。著者の創造力の凄さを改めて認識します。 自営業をしていると、人間関係や社会との繋がり方について考えることが多いのですが、この本はそういう根本的な問いを、極めてユニークな方法で提示してくれています。「寿命を効率よく消費する」というフレーズも印象的で、読み進めるにつれ、その意味の重みが増していく。 ページをめくる手が止まらなくなる面白さではありますが、思考を巡らせながら読む必要がある作品です。トレンド性と文学的な深さを兼ね備えた、さすが朝井リョウといった傑作だと思います。
2026年04月04日
北京という街をこんなに鮮烈に描いた本、初めてです。著者の菖蒲さんの「人生エンジョイ勢」ぶりが本当に素晴らしい。夫の単身赴任に渋々ついていった中国での生活が、こんなにダイナミックで楽しいエンタメになるなんて。 自営業の私たちは世間の変化に敏感じゃないといけませんが、この本は中国というマーケットの「今」を肌感覚で感じさせてくれます。高級レストランから路地裏の屋台まで、実在の街の息遣いが伝わってくるんです。単なる駐妻エッセイじゃなく、異文化に対する真摯な観察力と、それでも自分らしさを失わない柔軟さが光っています。 笑いどころも満載で、一気読み確定。北京のカオスな交通事情の描写なんて、本気で爆笑しました。愛犬ペイペイとの日常も可愛らしく、人間ドラマとしても上質です。これからもっと中国に関わる仕事が増えそうな気がするので、背景知識として最高。話題作チェックの習慣が正解だったと改めて実感です。
2026年04月02日
現代の言葉遣いについて考察した一冊。SNSやネット文化が浸透する中で、私たちが如何に言葉を使っているか、そしてそれが自分たちの人生にどう影響するかというテーマは、同じ36歳の自営業者として非常に興味深かった。 歌人ならではの視点で、恋愛や子育て、AIとのやり取りなど身近なシーン別に言葉の使い方を考察する構成は読みやすく、実体験に基づいた具体例が豊富なのが良い。特に世代としてSNS文化に翻弄されている自分たちにとって、「言葉の力」を改めて問い直す機会をくれる。 ただ、正直なところ目新しさには欠ける印象。言葉の大切さというテーマ自体は普遍的だし、ネット時代における言語問題についても、すでに様々な場所で議論されていることばかり。新潮新書というフォーマットの制約もあってか、深掘りが物足りなく感じてしまった。 自分の言葉遣いを丁寧に見つめ直したい人には良い入門書だと思う。ただ、より深い考察を求める読者には少し浅く感じられるかもしれません。
2026年03月30日
シリーズ4巻目を読み終わりました。この作品、本当に上手く出来ていますね。 メルフィエラというキャラクターの層の厚さが際立っています。単なるヒロインではなく、その背景にある謎や秘密が少しずつ解き明かされていく構成が秀逸。今巻では特にそれが顕著で、思わず一気読みしてしまいました。 ファンタジー世界観としての完成度も高いです。魔物討伐という基本設定を軸としながらも、王妃の陰謀や領地の政治など、ストーリーが着実に広がっていく。自営業をしている自分からすると、キャラクターたちの問題解決能力や判断力の描き方が現実的で好感が持てます。 一つ挙げるなら、各章のバランスがもう少し均等だとなお良かったかな、という点でしょうか。中盤の展開がやや駆け足に感じました。 ただ総じて、話題のシリーズとしての評判に納得できる出来栄えです。次巻への引きも完璧。続きが気になって仕方ありません。同じようなファンタジーがお好きな方なら、絶対ハマると思いますよ。
2026年03月29日
本屋大賞受賞作ということで手に取ったのですが、期待以上の素晴らしさでした。 弟の急死という重いテーマから始まるのに、物語が進むにつれて心がほぐれていく感覚を味わえます。主人公・薫子のキャラクター設定が本当に巧妙で、最初の頑なな態度から少しずつ変わっていく過程が自然かつ説得力があります。離婚後の荒んだ生活を送っていた彼女が、温かい食事を通じて人とのつながりを取り戻していく—そのプロセスが心に響きました。 自営業をしていると、つい自分優先になって周囲との関係性が疎遠になることもありますが、この本を読んで改めて「誰かのためにする」ことの大切さを感じました。食事というテーマを通じて、人間関係の修復や成長を描くセンスも素晴らしい。 何度も足を止めて読み返してしまうほど、言葉一つひとつが丁寧に選ばれているのが伝わります。話題の本という理由で読みましたが、その評判に納得。日々忙しくしている人こそ、この物語の優しさに包まれて欲しい一冊です。
2026年03月23日
「日記の時代」という特集に惹かれて購入しました。自営業をしていると、つい外部の情報に目が向きがちになるのですが、この号は改めて「個人の記録」の価値について考えさせてくれました。 SNS全盛の現在、日記という地味だけれど奥深い営みについて、これほど丁寧に取り上げた特集は珍しいと思います。掲載されている様々な著者の日記論や、実際の日記実践者へのインタビューを読んでいると、日記というのは単なる記録ではなく、自分と向き合うための貴重な時間なのだと改めて気づかされます。 特に興味深かったのは、現代の著名人たちが日記をどのように活用しているかという話。仕事が忙しい身だからこそ、こうした実例は参考になります。また、各書評家による日記に関連した本の紹介も充実していて、次に読むべき本が見つかりました。 本の雑誌の強みは、トレンドを捉えながらも本質的な問いを投げかけるところ。この号もまさにそれ。仕事と生活のバランスを考え直したい時期に出会えて、本当に良かったです。
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