生殖記

生殖記

朝井 リョウ

出版社:小学館 出版年月日:2024/10/02

小学館 | 2024/10/02

4.50
本棚登録:4人

みんなの感想

朝井リョウの新作『生殖記』を読み終わりました。『正欲』以来3年半ぶりということで期待していたんですが、期待を裏切らない面白さでした。 この小説は、一見すると日常的な場面から始まるんですが、徐々に著者独特の視点が浮き上がってくる。タイトルの「生殖記」が示唆する通り、人間の本能的な部分を解剖するような冷徹さと、それでいて人間への深い洞察が交錯しています。エンジニアとして仕事をしていると、つい効率や論理で物事を考えてしまいがちですが、この本はそうした思考の陥穽を見事に描き出しているように感じました。 文体としても読みやすく、ページをめくる手が止まりません。ただ時々、著者の問題意識がかなり先端的で、ついていくのに少し考え込んでしまう箇所もありました。でもそこが、気軽に読むだけではない、この小説の魅力なんだと思います。疲れた夜に気軽に開きながらも、しっかり考えさせられる、そんな一冊に出会いたい方にはぜひおすすめです。