智子の本棚
感想

話題の本は逃さない派なので、直木賞と山本周五郎賞のダブル受賞というニュースを見かけたときから気になっていました。いざ読んでみると、その期待値を見事に上回る傑作でした。 秋田の貧困な家に生まれた富治が、マタギとして山と獣に向き合う姿勢が本当に美しい。自営業の私たちにとって、生業に対する真摯な向き合い方って、どこか共通する部分があるんですよね。経済的な困難に直面しても、自分たちの仕事の本質を見失わないというか。 著者が描く失われゆく日本の風土や文化への眼差しが印象的です。登場人物たちの切実な葛藤を通じて、近代化の波の中で何が失われ、何が守られるべきなのかを静かに問いかけてくる。恋愛や人間関係も絡み合い、単なる時代小説の枠を超えた深い思考の作品になっています。 読み応え抜群で、一気読みしてしまいました。これからも話題作をチェックするときの指標になりそう。同時受賞という栄誉も納得できる、本当に優れた一冊です。

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