住宅論

住宅論

篠原一男

出版社:鹿島出版会 出版年月日:1987/05/01

鹿島出版会 | 1987/05/01

5.00
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みんなの感想

住宅という身近でありながら複雑なテーマを、これほど多角的に掘り下げた著作に出会うのは稀だ。建築史、都市計画、社会学、経済学——複数の学問領域を横断しながら、「住む」ことの本質に迫る姿勢に引き込まれた。 フリーランスという立場で様々な環境で仕事をしてきた経験から、住宅環境が生活の質や創造性にいかに影響するかを実感してきた。その直感を、この本は理論的かつ実証的に根拠づけてくれる。技術的な側面と人文的な考察がバランスよく織り交ぜられており、単なる建築解説ではなく、現代社会における住宅の役割そのものへの問い直しになっている。 特に興味深かったのは、個人の選択と社会的構造がいかに相互作用しているかという視点だ。これまで当たり前だと思っていた住宅概念が、実は非常に歴史的・政治的なものであることに気づかされた。 鹿島出版会という出版社の眼利きも光っており、評価の高さに納得である。生活者としても思想家としても、あらゆる読者に推奨したい一冊だ。