住宅論

住宅論

篠原一男

出版社:鹿島出版会 出版年月日:1987/05/01

鹿島出版会 | 1987/05/01

4.25
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

住宅に関する知識を深めたいと思って手にした一冊です。公務員として、都市計画や建築関連の話題は仕事でも関わることがあるので、基礎的な理解があると良いだろうと考えていました。 本書は住宅という題材を、歴史・技術・生活文化など多角的に扱っています。その点は評価できますし、専門的な内容をある程度わかりやすく解説しようとした姿勢も感じられます。ただ、正直なところ、読んでいて心をつかまれるような新しい視点や深い洞察を得られたかというと、微妙なところです。 技術的な説明は充実していますが、やや教科書的で、エッセイのような人間味や、実際の住まい手の視点がもう少しあってもよかったかなという気がします。気軽に読む分には少し重いし、専門的に深掘りしたい人には物足りない――そんな印象です。 実用的な知識を身につけたい方には役立つと思いますが、私のように気分で読書を選ぶタイプには、もう一歩何かが足りないという感じでした。悪い本ではありませんが、強くお勧めするほどではないというのが正直な評価です。

感想

住宅という身近でありながら複雑なテーマを、これほど多角的に掘り下げた著作に出会うのは稀だ。建築史、都市計画、社会学、経済学——複数の学問領域を横断しながら、「住む」ことの本質に迫る姿勢に引き込まれた。 フリーランスという立場で様々な環境で仕事をしてきた経験から、住宅環境が生活の質や創造性にいかに影響するかを実感してきた。その直感を、この本は理論的かつ実証的に根拠づけてくれる。技術的な側面と人文的な考察がバランスよく織り交ぜられており、単なる建築解説ではなく、現代社会における住宅の役割そのものへの問い直しになっている。 特に興味深かったのは、個人の選択と社会的構造がいかに相互作用しているかという視点だ。これまで当たり前だと思っていた住宅概念が、実は非常に歴史的・政治的なものであることに気づかされた。 鹿島出版会という出版社の眼利きも光っており、評価の高さに納得である。生活者としても思想家としても、あらゆる読者に推奨したい一冊だ。

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