ババヤガの夜

ババヤガの夜

王谷 晶

出版社:河出書房新社 出版年月日:2023/05/09

河出書房新社 | 2023/05/09

4.00
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みんなの感想

暴力団の娘の運転手という異色の設定に、正直なところ最初は躊躇していました。でも、丁寧なレビューが多かったので読んでみることにして正解でした。 新道依子というキャラクターの描き方が秀逸です。暴力を唯一の趣味とする女性という一見単純な設定ながら、話が進むにつれて彼女の複雑な心理が層状に明かされていく。39歳の私たちも仕事の中で様々な秘密や背景を抱えていますが、この物語はそうした「人間の多面性」をダークに、でも誠実に描いています。 文体の迫力がすごい。「血が逆流するような描写」という謳い文句は本当で、アクションシーンは思わず息をのむほど。ただ暴力的なだけではなく、その先にある感情や葛藤が丁寧に描かれているところが、単なるアクション小説を超えた作品に仕上がっています。 会長の一人娘との関係性も興味深く、二人の絆が物語の核となって、最後まで引き込まれました。普段のエッセイ読みからは一歩踏み出す冒険でしたが、この作品の奥行きはその冒険を十分に報いてくれました。