雄一の本棚
ほかならぬ人へ

ほかならぬ人へ

白石一文 祥伝社 2013年1月1日

感想

直木賞受賞作ということで、評判の確かさを確認してから手に取った。正解だったと思う。 妻に裏切られた男が、別の女性に惹かれていく…という基本の設定だけ聞くと、ありがちな恋愛小説かと身構えてしまう。だが読み進むと、この作品がそのような安易な枠組みに収まらないことに気づかされる。著者は愛とは何か、相手を選ぶとはどういうことか、といった本質的な問いを静かに、しかし確実に重ねていく。 登場人物たちの心理描写が丁寧だ。特に主人公の揺らぎや迷い、そして徐々に変わっていく感情の流れが自然で説得力がある。54歳の身として、人生の途中で予期せぬ感情に揺さぶられる経験についても、深く考えさせられた。 恋愛小説というカテゴリーにありながら、人間関係の複雑さ、人生におけるパートナーの意味について考え続けさせる骨太さがある。長編ながらも一気読みさせてしまう力があり、読み終わった後も心に残る。やはり評判の書は理由があるものだと改めて感じた。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ