何者

何者

朝井 リョウ

出版社:新潮社 出版年月日:2012/11/30

新潮社 | 2012/11/30

4.27
本棚登録:13人

みんなの感想

感想

就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎 瑞月、理香、隆良。バンドやってたり、留学してたり 何かしらのサークルなりボランティアなりの代表してたり 思想に彷徨ってみたりしている大学生たちが就活を 通して何者でもない自分を模索しながら社会に出て 行こうとするお話。 辛いわ、読んでて胃がキリキリしたわ。 それというのは我が家にはまさに就活真っ最中の娘が いるわけで、登場人物の一人ひとりに娘や娘の周りの 子達を重ねてしまいもうどうしていいのかわからないぐらいに うろたえてしまった。 街中で見かけるスーツ姿の就活生達。 就活を始めた頃は不安な中にも自分の未来を信じている そんな目をしているが段々と不安と疲労が色濃くなってくる。 就活の何が辛いかって、なぜ自分が不採用になるかの 明確な答えがないからだ。  エントリーシートあたりで落ちるのならまだショックは 少ないのだが面接、それも最終あたりまで行くと多少は 期待もするわけだ。  でも落ちる。なぜだ? 私に何が足りないのだ? それがわからない。 そういう就活生達のリアルなジレンマが伝わってきて、いちいち 過敏に反応してしまう。 それでも青春小説としての部分も無きにしも非ずだったので なんとか落ち込まない方向で読みすすめていったのだが 最後にげげげっな展開。ラストの展開は怒涛であった。 ああ、怖い怖い。 読み進めるのが怖い怖い。 頭の片隅で「やーめーてー」と思いながらも先へ先へ読み 進めてしまう。 「ダサくてカッコ悪い今の自分の姿で、 これでもかってくらい悪あがきするしかないんだよ」  泪出るわ。 何者でもない自分、それでも何者かになりたくてあがいてあがいて 結局恥ずかしい自分をさらけ出すことになってしまう。 胸がえぐられるほど痛い小説だった。   いつかこういうイタサや悪あがきを笑い話に出来る時が 来るかもしれない。いやきっと来る!そう信じたい(願望) そもそも内定が終着ではないのだから。

感想

話題の本として新聞でも取り上げられていたので、手に取ってみた。就活を控えた大学生たちの群像劇というシンプルな設定だが、読み進むにつれ、その奥深さに引き込まれた。 著者は学生たちの内面を丹念に描き出している。SNSで演出された自分と本当の自分のズレ、就活という通過儀礼の中で揺らぐアイデンティティ、親や社会からの見えない圧力―こうした要素が絶妙に織り交ぜられている。特に印象的だったのは、誰もが何らかの「影」を抱えながら生きているという視点だ。これは何も学生に限った話ではなく、教育の現場にいる自分自身にも突き刺さる問題提起である。 構成も工夫されており、複数の視点が重なり合うことで、同じ出来事が違う意味を帯びてくる面白さがある。やや冗長に感じる箇所もあったが、全体としては現代社会の違和感をよく捉えた傑作だと思う。若い世代だけでなく、大人が読んでも多くの気づきが得られる作品。

感想

ずっと気になっていた朝井リョウの『何者』をようやく読み終わりました。就活生という限られた時間の中で揺れ動く若者たちの心情が、ここまでリアルに描かれているんだという驚きです。 SNSでの自分と実際の自分のギャップ、親への見栄、同世代との競争意識…。誰もが心のどこかに持っているけれど、目を背けたくなる感情たちが次々と浮き上がってきます。登場人物たちを通じて、自分自身も問い詰められているような、そんな緊張感が最後まで途切れません。 母親になった今だからこそ感じることもあります。親の期待と本人の迷いのズレ、それでも前に進もうとする若者たちの切実さ。子どもたちがいずれ直面するこの世界について、深く考えさせられました。 終盤の展開も秀逸で、「あ、そういうことか」と目からウロコが落ちる瞬間がありました。気軽に読める一冊ではないけれど、それだけの価値がある傑作だと思います。同年代の方にも、お子さんのいる方にも強くおすすめしたい一冊です。

感想

書店で話題になっていたので手に取ってみました。就活という若い世代の通過儀礼を描いた作品ですが、読み進めるうちに自分の人生と重ねて考えさせられてしまいました。 登場人物たちが「何者なのか」を必死に探し求める姿勢は、年を重ねた私たちにも突き刺さります。見栄を張り、本当の自分を隠し、社会に適応しようとする葛藤—それは就活生だけの問題ではなく、仕事を続ける上で誰もが抱えている悩みなのだと気づかされました。 著者の筆力は本当に素晴らしく、登場人物たちの心理描写が繊細で深いです。SNS時代の複雑さ、友人関係の微妙な距離感、親世代との認識のズレ。こうした現代的なテーマを見事に作品に織り込んでいます。 読み終わった後、しばらくは余韻に浸りたくなる一冊です。同世代の友人たちとも話題にしたくなりました。ここ数年で読んだ小説の中でも特に心に残る作品となりました。

感想

就活というテーマで、これほど深く人間の本質に迫った小説に出会ったのは久しぶりです。 自分自身も若い頃に就職活動を経験していますが、当時の淡い記憶と比べて、この作品が描く大学生たちの葛藤のリアリティに驚きました。彼ら彼女らが演じること、隠すこと、本当の自分を見つけようと必死に足掻く様子が、実に説得力を持って綴られている。単なる就活小説ではなく、現代人が抱える根本的な不安や偽りと向き合う問題作だと感じます。 会社員人生が長くなると、仕事の現場でも「何者か」という問いかけから遠ざかってしまうものです。しかしこの本を読んでいると、そうした問い自体を忘れてはいけないのだと改めて考えさせられる。登場人物たちの言葉や行動を通じて、自分自身の人生にも光が当たるような感覚を覚えました。 筆力も素晴らしく、最後まで一気に引き込まれました。同年代の読者にも強くお勧めしたい一冊です。

感想

就活という限られた期間の中で、複数の自分を演じ分ける大学生たちの姿を描いた作品だ。エンジニアとして働く身からすると、彼らの「自分を売る」葛藤は、採用面接や職場での自分の見せ方という形で、今も自分の中に生きている問題として響いた。 著者は登場人物たちの思考の揺らぎを丁寧に追っていく。SNSと現実のギャップ、建前と本音の衝突、そうした普遍的なテーマが、就活というステージを通じて研ぎ澄まされている。特に印象的なのは、誰が善悪かはっきりしない人間関係の描き方だ。登場人物たちは完全な被害者でもなければ加害者でもなく、みな何かを抱えながら前に進もうとしている。 読み終えて思うのは、自分たちの世代が経験した就活と、その先の人生の迷い方がこんなにも変わっていないのかということ。年月が経っても、人間の本質的な不安や模索は繰り返されるのだろう。文学的な表現と心理描写のバランスが優れており、一気読みできる面白さがありながらも、後味として深い考察が残る。慎重に作品を選ぶ方なら、この一冊の価値は十分あると思う。

感想

最近の話題作とのことで手に取ってみた。就活を控えた大学生たちの内面を描いた作品だという。わたしの時代とは随分と世相が変わったものだ。 小説としての構成はしっかりしており、登場人物たちの葛藤や自問自答の様子が丁寧に描かれている。若い世代が何を考え、何に悩んでいるのか、そうした現代の空気感を感じ取ることができた。著者の観察眼は鋭い。 ただ、正直なところ、これといって心を揺さぶられることもなかった。人生経験が違うせいかもしれないが、登場人物たちの悩みが自分の実感からは少し遠く感じられたのだ。若い読者には違う印象を持つだろう。 話題作として一度は読んでおく価値はある。新潮社の力の入れようも伝わってくる。良い本ではあるが、特に秀でた傑作という程ではなく、およそ及第点といったところだろうか。自営業で長年世を渡ってきたせいか、もう少し人間の本質に迫る描写を求めてしまう。

感想

ベストセラーというキャッチに惹かれて手にとった作品です。就活という現代的なテーマを扱っており、若い世代の葛藤や迷いが丁寧に描かれています。確かに、自分たちの世代とは異なる就職活動の実態が興味深く読めました。 ただ、正直なところ、この物語に強く引き込まれたかといえば微妙です。登場人物たちの心理描写は繊細ですが、どこか一歩引いた距離感を感じてしまい、完全に感情移入できませんでした。フリーランスとして自由な働き方を選んできた身としては、就活の現場での葛藤が少し他人事に思えたのかもしれません。 文章の質感は良好で、著者の筆力は確かです。ただ、メッセージ性が強調されすぎているのか、読み終わった後に「これは何が言いたかったのか」と考えさせられすぎる印象が残りました。人によっては深い思索につながるでしょうが、私の場合は腑に落ちきらず終わった感じです。 悪くない作品ですが、特に強く推奨する理由も見当たらない。そんな率直な感想です。

感想

就活という限定的なテーマながら、これほど普遍的な人間の本質に迫った作品は珍しいです。管理職として多くの若者を見てきた経験から言えば、朝比奈たち登場人物の葛藤は決して他人事ではありません。 本書の秀逸さは、就活というフィルターを通して、私たち誰もが抱えている「他者にどう見られるか」という根源的な不安をあぶり出すところにあります。SNS時代の今だからこそ、この問題は一層切実です。キャラクターたちの違和感や焦燥感、そして自己欺瞞の構造が、こんなにも丁寧に描き出されているのに驚きました。 物語を通じて、著者は読み手に何度も問いかけてきます。「あなたは本当の自分を知っていますか?」と。私自身、仕事人生の中で何度も直面した問題です。だからこそ、この作品は単なる小説の枠を超えて、自己省察のきっかけになりました。 重い内容ですが、表現が見事で、読み進めるのに全く苦になりません。むしろ、一気読みしてしまいました。人生のどの段階で読んでも価値のある、本当に良い作品だと確信しています。

感想

就活という誰もが通る道を舞台に、こんなに心理描写を深く掘り下げた小説があったか。朝日新聞の書評欄で目にしてから、ずっと気になっていたこの作品、ようやく読むことができました。 物語は四人の大学生が就職活動という限定された時間の中で繰り広げる葛藤や競争を描いていますが、単なる就活の実録ではありません。自分たちが何者なのかを必死で探ろうとする姿勢、本音と建前の間で揺れ動く心理状態が、これほどまでに生々しく描かれているとは。読みながら、自分の就活時代を思い出し、当時の自分の迷いや焦りが蘇ってきました。 四十を過ぎた今だからこそ感じる説得力もあります。彼ら彼女らが抱える「何者でもない自分」への恐怖は、実は社会人になってからも形を変えて続いているのではないか。そんなことまで考えさせられる。 大企業社員として日々を過ごす自分たちも、突き詰めれば同じ問題と向き合い続けているのだ。そう気づかされる秀逸な一冊です。

感想

# 読書レビュー 最近の話題作ということで手に取った『何者』。これは若い人たちの就職活動を通じて、現代の若者たちの心の内を描いた作品ですね。 正直なところ、年が離れていることもあり、SNSやネットの描写には戸惑う部分もありました。しかし読み進めるうちに、時代は違えど「自分たちは本当は何者なのか」という問い自体は、どの世代にも共通するテーマなんだと気づかされました。 登場人物たちが就活という試練の中で、自分たちの本当の姿や欠点と向き合っていく様子が、とても切実に描かれています。人間関係の複雑さ、自分を飾る虚しさ、本当の自分を誰かに認めてもらいたいという願い――そういったものが丁寧に紡ぎだされているんです。 読んだ後、何だかモヤモヤとした気持ちが残ります。それはこの本が、読者の心を問いかけてくるからなのでしょう。大人になった今だからこそ、若い日の自分たちと照らし合わせて考えさせられました。話題になるだけの価値のある一冊だと思います。

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