何者

何者

朝井 リョウ

出版社:新潮社 出版年月日:2012/11/30

新潮社 | 2012/11/30

4.00
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

就活という限られた期間の中で、複数の自分を演じ分ける大学生たちの姿を描いた作品だ。エンジニアとして働く身からすると、彼らの「自分を売る」葛藤は、採用面接や職場での自分の見せ方という形で、今も自分の中に生きている問題として響いた。 著者は登場人物たちの思考の揺らぎを丁寧に追っていく。SNSと現実のギャップ、建前と本音の衝突、そうした普遍的なテーマが、就活というステージを通じて研ぎ澄まされている。特に印象的なのは、誰が善悪かはっきりしない人間関係の描き方だ。登場人物たちは完全な被害者でもなければ加害者でもなく、みな何かを抱えながら前に進もうとしている。 読み終えて思うのは、自分たちの世代が経験した就活と、その先の人生の迷い方がこんなにも変わっていないのかということ。年月が経っても、人間の本質的な不安や模索は繰り返されるのだろう。文学的な表現と心理描写のバランスが優れており、一気読みできる面白さがありながらも、後味として深い考察が残る。慎重に作品を選ぶ方なら、この一冊の価値は十分あると思う。

感想

最近の話題作とのことで手に取ってみた。就活を控えた大学生たちの内面を描いた作品だという。わたしの時代とは随分と世相が変わったものだ。 小説としての構成はしっかりしており、登場人物たちの葛藤や自問自答の様子が丁寧に描かれている。若い世代が何を考え、何に悩んでいるのか、そうした現代の空気感を感じ取ることができた。著者の観察眼は鋭い。 ただ、正直なところ、これといって心を揺さぶられることもなかった。人生経験が違うせいかもしれないが、登場人物たちの悩みが自分の実感からは少し遠く感じられたのだ。若い読者には違う印象を持つだろう。 話題作として一度は読んでおく価値はある。新潮社の力の入れようも伝わってくる。良い本ではあるが、特に秀でた傑作という程ではなく、およそ及第点といったところだろうか。自営業で長年世を渡ってきたせいか、もう少し人間の本質に迫る描写を求めてしまう。

感想

就活という限定的なテーマながら、これほど普遍的な人間の本質に迫った作品は珍しいです。管理職として多くの若者を見てきた経験から言えば、朝比奈たち登場人物の葛藤は決して他人事ではありません。 本書の秀逸さは、就活というフィルターを通して、私たち誰もが抱えている「他者にどう見られるか」という根源的な不安をあぶり出すところにあります。SNS時代の今だからこそ、この問題は一層切実です。キャラクターたちの違和感や焦燥感、そして自己欺瞞の構造が、こんなにも丁寧に描き出されているのに驚きました。 物語を通じて、著者は読み手に何度も問いかけてきます。「あなたは本当の自分を知っていますか?」と。私自身、仕事人生の中で何度も直面した問題です。だからこそ、この作品は単なる小説の枠を超えて、自己省察のきっかけになりました。 重い内容ですが、表現が見事で、読み進めるのに全く苦になりません。むしろ、一気読みしてしまいました。人生のどの段階で読んでも価値のある、本当に良い作品だと確信しています。

感想

# 読書レビュー 最近の話題作ということで手に取った『何者』。これは若い人たちの就職活動を通じて、現代の若者たちの心の内を描いた作品ですね。 正直なところ、年が離れていることもあり、SNSやネットの描写には戸惑う部分もありました。しかし読み進めるうちに、時代は違えど「自分たちは本当は何者なのか」という問い自体は、どの世代にも共通するテーマなんだと気づかされました。 登場人物たちが就活という試練の中で、自分たちの本当の姿や欠点と向き合っていく様子が、とても切実に描かれています。人間関係の複雑さ、自分を飾る虚しさ、本当の自分を誰かに認めてもらいたいという願い――そういったものが丁寧に紡ぎだされているんです。 読んだ後、何だかモヤモヤとした気持ちが残ります。それはこの本が、読者の心を問いかけてくるからなのでしょう。大人になった今だからこそ、若い日の自分たちと照らし合わせて考えさせられました。話題になるだけの価値のある一冊だと思います。

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