感想
最近の話題作とのことで手に取ってみた。就活を控えた大学生たちの内面を描いた作品だという。わたしの時代とは随分と世相が変わったものだ。 小説としての構成はしっかりしており、登場人物たちの葛藤や自問自答の様子が丁寧に描かれている。若い世代が何を考え、何に悩んでいるのか、そうした現代の空気感を感じ取ることができた。著者の観察眼は鋭い。 ただ、正直なところ、これといって心を揺さぶられることもなかった。人生経験が違うせいかもしれないが、登場人物たちの悩みが自分の実感からは少し遠く感じられたのだ。若い読者には違う印象を持つだろう。 話題作として一度は読んでおく価値はある。新潮社の力の入れようも伝わってくる。良い本ではあるが、特に秀でた傑作という程ではなく、およそ及第点といったところだろうか。自営業で長年世を渡ってきたせいか、もう少し人間の本質に迫る描写を求めてしまう。