雄一の本棚
感想

『ハリネズミの願い』の作者による作品ということで、手に取ってみました。正直なところ、動物キャラクターの寓話というと子ども向けと思ってしまう部分もありましたが、読んでみるとそうではありませんでした。 気のいいリス、知識に苦しむアリ、夢見がちなゾウ……それぞれのキャラクターが抱える悩みや葛藤が、実に人間らしく、深く描かれています。誰もが何らかの形で共感できる登場人物がいるのではないでしょうか。私自身、頭でっかちになりがちな傾向があるので、アリのエピソードは特に心に残りました。 幻の名作の完全版ということですが、こうした作品が改めて世に出たこと自体が嬉しいものです。ただし期待値が高ければ高いほど、好みの分かれる部分もあるかもしれません。テレヘン・ワールドという独特の世界観に、どれだけ入り込めるかがポイントだと思います。 中年男性には、人生経験を重ねたからこそ感じる味わい深さのある作品です。一気読みというより、じっくり付き合う価値がある一冊ですね。

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