雄一の本棚
感想

「このミス」で上位に選ばれたというのを見かけて、どういう作品かと興味を持って手に取りました。警察小説というジャンルは以前からも読んでいましたが、この作品はひと味違う緊張感を持っていますね。 時効という法的な制約の中で、限られた時間に容疑者を追い詰めようとする警察側の葛藤と執念が丁寧に描かれています。連作集という形式も機能していて、各編で異なる視点から同じテーマに迫ることで、奥行きのある構成になっている。特に法と正義のあいだで揺れ動く登場人物たちの心理描写に、思わず考えさせられました。 会社員生活が長くなると、規則や制度の枠組みの中での人間の動きというのが、自分事として実感を持って読める。この本もそうした現実的な重みを感じさせてくれます。飛び道具のような派手さはありませんが、しっかりした構成と説得力のあるストーリーテリングが心地よい。本当に良い作品に出会えたと思っています。

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