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へっぽこ膝栗毛(五)

へっぽこ膝栗毛(五)

稲葉稔 双葉社 2026年3月11日

感想

時代小説の連続ものに手を出すのは、正直迷いもありました。しかし、このシリーズは第五巻という中盤でありながら、各巻が独立した読みやすさを持ちながらも、登場人物たちへの愛着が深まるよう工夫されているのが印象的です。 新兵衛の成長を見守りながら、江戸から京への道のりと帰路という、ある種の人生の問題をユーモアを交えて描いている。縁談の話やら親心やら、54歳の私にとって他人事ではない葛藤が、笑いの中に自然に織り込まれています。旅という枠組みの中で、登場人物たちが遭遇する出来事が、時に心温まり、時にクスッと笑わせてくれる。 へっぽこという題名が示す通り、登場人物たちの不器用さが魅力的です。完璧な英雄譚ではなく、人間らしい迷いと失敗と、それでもなお前に進もうとする姿勢。これは年を重ねた今だからこそ、より深く響く部分があります。長い連載ものの気疲れもなく、十分に楽しめる一冊でした。

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