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本日は、お日柄もよく

本日は、お日柄もよく

原田マハ 徳間書店 2013年6月1日

感想

本屋で何気なく手に取ったこの作品ですが、予想以上に引き込まれてしまいました。スピーチライターという職業を通じて、言葉の力がいかに人を動かすかを描いた物語なのですが、64年も生きていると、こういう「人を感動させる言葉の選び方」というテーマに心がグッと掴まれるんですね。 主人公が伝説のスピーチライターに弟子入りして成長していく過程が、自然で説得力があります。仕事の現場で言葉がいかに重要か痛感してきた身としては、この作品が教えてくれることが本当に多い。政治の場面という大きな舞台での活躍も、決して荒唐無稽ではなく、丁寧に積み重ねられています。 何より良かったのは、このお仕事小説としての完成度です。仕事の描き方が誠実で、読んでいて「ああ、これは本当にあるんだろうな」と納得させられる。そしてそこに登場人物たちの人間関係もしっかり織り込まれている。最後まで一気読みしてしまいました。人生経験が豊かな読者ほど楽しめる、そんな良質な一冊だと思います。