シニアの本棚の本棚
感想

直木賞受賞作ということで、期待を持って手に取りました。就活を控えた若者たちがSNSと現実の狭間で葛藤する様子を描いた作品ですが、正直なところ、読み進めるのに少し疲れてしまいました。 登場人物たちの自意識の描写は確かに巧みなのですが、その分、彼らが皆どこか不誠実に見えてしまい、応援したくなる気持ちが湧きません。SNSの発信と本音のズレを題材にするのは現代的で興味深いのですが、話が進むにつれ、その葛藤がやや繰り返しに感じられました。 64年生きてきた身としては、若い世代の複雑さは理解できるつもりですが、この小説を通じて何か大切なことを学べたかというと、疑問が残ります。受賞作だからこそ、もっと心に響く何かがあるのではないかと期待していたのに……。文章の力は確かですが、内容の深さという点では、私の好みには合いませんでした。