チップス(下)

チップス(下)

真山仁

出版社:日経BP 出版年月日:2026/02/20

日経BP | 2026/02/20

4.00
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

8年ぶりの鷲津政彦の登場とあれば、さすがに気になって手に取りました。「ハゲタカ」シリーズは過去作も読んでいましたが、この「チップス」はそれまで以上に緊迫感があります。 台湾の半導体産業を舞台に、米国と中国の大国の思惑がぶつかり合う様子が、まさに今この時代に起きている現実と重なって見えるのです。真山仁氏の取材力の確かさが改めて伝わってきました。複雑な国際関係や産業構造の問題を、退場するはずだった主人公を通して丁寧に描いており、単なる冒険小説ではなく、ビジネスマンとしての倫理観や覚悟まで問い直す深さがあります。 少々難しい内容ではありますが、丹念に読み進めば現在の世界情勢への理解も深まるでしょう。パート勤務で時間的な余裕が出てきた今だからこそ、こうした質の高い作品にじっくり向き合う喜びを感じています。年配の読者にこそお勧めしたい一冊です。

感想

8年ぶりの鷲津政彦の登場ということで、ハゲタカシリーズの大ファンとしては待ちに待った一冊でした。今回の舞台が台湾で、半導体という現代最大のホットイシューを扱っているというのも、タイムリーで惹かれました。 真山仁さんの筆致は相変わらず素晴らしく、複雑な国際的思惑を絡ませながらも物語として読みやすいバランス感覚には感心します。米国と中国が台湾の半導体産業をめぐって繰り広げる目に見えない戦いの中で、日本の立場もどう動くのかというところがまた面白い。 鷲津政彦というキャラクターも年を重ねながら、でも相変わらずの冷徹さと計算高さを持っていて、懐かしくも新しい感覚で楽しめました。ただし前作から時間が開いているので、登場人物の関係をすっかり忘れていて、序盤少し戸惑いました。 会社員として仕事をしながら読む身としては、経済とビジネスの奥深さを改めて考えさせられる、そして同時にエンタメとしても満足できる、そういう一冊です。

感想

ハゲタカシリーズは大学時代から追いかけていたので、8年ぶりの新作ということで期待して手に取りました。台湾有事と半導体覇権という、まさに今この瞬間の国際問題を題材にしているのは興味深いです。 ただ率直に言うと、若干の物足りなさを感じました。鷲津政彦のキャラクターの魅力は相変わらずなのですが、ストーリーとしては複雑な国際関係を描こうとするあまり、登場人物たちの感情面の掘り下げが浅くなっているように思えます。政治経済的なテーマの重さに対して、物語のドライブ感がやや不足しているというか。 もちろん真山仁氏の描く企業戦とジオポリティクスの融合は秀逸です。新社会人として働く身としても、こうした国家間の経済戦争を知ることは大切だと感じます。ただ、小説として読むときの没入感を考えると、もう一段階のエモーショナルなダイナミズムが欲しかったというのが正直なところです。 悪くはない、けれど傑作とまでは言えない。そんな一冊です。

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