何者

何者

朝井 リョウ

出版社:新潮社 出版年月日:2015/06/26

新潮社 | 2015/06/26

3.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

話題になっていた本書をようやく手に取りました。就職活動という人生の岐路に立つ若者たちを通じて、現代人が抱える本当の姿が浮かび上がる——その構図の巧みさに引き込まれました。 管理職として多くの部下と関わる立場にある私にとって、特に印象的だったのはSNSや面接という「選別される場」での言葉と本心のズレを描く部分です。誰もが何らかの「演技」をしながら社会を渡っていることを、きわめてシニカルに、しかし本質的に問い直している。自分たちの会社でも同じことが起きているんだろう、と思わず考えさせられました。 5人の登場人物たちの相互作用も見事です。共同生活という密度の濃い関係の中で、自意識と本音がぶつかり合う様子が、まるで自分たちが当事者であるかのような臨場感で綴られています。世代は異なりますが、人間関係の機微を読む喜びは年代を超えるのだと改めて実感しました。 受賞作の名に違わぬ傑作。現在進行形で働く大人にこそ、読む価値のある一冊だと思います。

感想

直木賞受賞作ということで、期待を持って手に取りました。就活を控えた若者たちがSNSと現実の狭間で葛藤する様子を描いた作品ですが、正直なところ、読み進めるのに少し疲れてしまいました。 登場人物たちの自意識の描写は確かに巧みなのですが、その分、彼らが皆どこか不誠実に見えてしまい、応援したくなる気持ちが湧きません。SNSの発信と本音のズレを題材にするのは現代的で興味深いのですが、話が進むにつれ、その葛藤がやや繰り返しに感じられました。 64年生きてきた身としては、若い世代の複雑さは理解できるつもりですが、この小説を通じて何か大切なことを学べたかというと、疑問が残ります。受賞作だからこそ、もっと心に響く何かがあるのではないかと期待していたのに……。文章の力は確かですが、内容の深さという点では、私の好みには合いませんでした。

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