シニアの本棚の本棚
感想

新聞の広告欄で何度も目にしたので、思い切って手に取ってみました。正直なところ、題材の扱い方に少し不安もありましたが、読んでみて良かった。 梶井真奈子という女性受刑者を通じて、現代社会の歪みと人間の欲望について、実に丁寧に問い掛けてくる作品です。外見や年齢で人を判断する世の中の空気、そうした抑圧から解放されたときに人はどう変わるのか——その過程が週刊誌記者・町田里佳の視点から徐々に描かれていく。 何より驚いたのは、この小説が単なる犯罪劇ではなく、女性の内面の変化、周囲の人間関係の複雑な絡み合いまで深く掘り下げている点です。読み進むにつれて、登場人物たちの行動が必ずしも悪いとも正しいとも言えない曖昧さに引き込まれていきました。 文庫本で読みやすく、各章が短めなので無理なく続けられたのも良かった。最初は慎重に構える必要もありますが、現代を生きる大人が読むに値する、きちんとした社会派小説だと思います。