BUTTER

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柚木 麻子

出版社:新潮社 出版年月日:2020/01/29

新潮社 | 2020/01/29

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

漫画やライトノベルばかり読んでる自分が、なぜこんな作品に惹かれたのか自分でも驚いています。最初は「週刊誌記者」とか「容疑者との対話」という設定に不安もあったんですけど、ネットのレビューで高評価だったので思い切って手に取ってみました。 正直、予想を大きく裏切られました。表面的には犯罪サスペンスなんですが、実は人間の欲望とか自分らしさって何なのか、っていうもっと深いテーマが隠れている。主人公の梶井という女性が放つ言葉一つ一つが、周りの登場人物だけじゃなく、読んでる自分の心にも影響を与えてくる感じで。 文章が難しいところもあって、何度か読み返した箇所もあります。けど、だからこそ深く考えさせられるんだと思う。自分はまだ大学生で、人生経験も少ないけど、この本を読んで「社会」とか「個人の欲望」について初めてちゃんと考える機会になりました。 同年代の友人にも勧めたいけど、万人向けではないと思うので、心に余裕がある時に読むことをお勧めします。

この作品を手にしたのは、書評で「社会派長編」と評されていたからです。どんな内容だろうか、慎重に読み進めました。 梶井真奈子という女性の存在が、周囲の人間をどう変えていくのか。その力学を緻密に描いた傑作だと感じます。容疑者という立場にありながら、記者の里佳に影響を与え、やがて周囲の人生までも揺さぶる。その過程が見事です。 何より感心したのは、外見や年齢といった表面的な条件では人を判断できない、という古い私たちへの問い掛けです。年を重ねて、世間的な「当たり前」に縛られてきた自分たちは、こういう視点をどこかで忘れていたのかもしれません。 文庫版で手軽に読めるのも良かった。ただし、内容はけっして軽くありません。フェミニズムや欲望といったテーマが織り込まれており、単なるサスペンスではなく、深く考えさせられる作品です。 人間関係の複雑さ、社会的な圧力に抗う姿勢など、これからの人生でも大切だと思わせてくれました。七十代の私にとっても、新しい視点をもたらしてくれた一冊です。

社会派長編と銘打たれているだけあって、一筋縄ではいかない深さがあります。最初は事件の真相を追う記者視点で読み始めたのですが、次第に物語に引き込まれていきました。 何より興味深いのは、梶井真奈子というキャラクターの造形です。一般的な美女像に収まらない彼女が、どのように周囲に影響を与え、自らも変容していくのか。その過程が丁寧に描かれています。フェミニズムやバターなど一見すると相反する題材が、実は深い意図のもとに配置されていることに気づくと、作品全体の構想の大きさに感心します。 管理職という立場から申し上げると、組織内の人間関係の力学、特に女性同士の複雑な関係性がリアルに描かれているのが印象的でした。自分自身の経験と重ねながら読む部分も多くありました。 やや長編で、登場人物も多いため、最初は一気読みより腰を据えて向き合う必要があります。慎重に選書する私も、このレビューを読んで購入を迷いましたが、読了して正解でした。女性ならではの視点で楽しめる、考えさせられる一冊です。