ゆーきの本棚
感想

新潮社の文庫で話題になっているこの作品、思い切って手に取ってみました。八十を過ぎた身でも、こうした現代的なテーマを扱うミステリーは血が騒ぐものですね。 物語の中核は、連続殺人鬼とその妻たちという極めて異常な関係性。一見すると犯罪心理学の領域かもしれませんが、著者はそこに人間の感情の複雑さを丁寧に紡ぎ込んでいます。殺人鬼の妻たちが心の奥底に秘めている感情、それは怒りなのか、恐怖なのか、あるいは別の何かなのか。読み進むにつれて、その問いかけが深まっていく。 文庫ということで手軽に読めるのも良い。登場人物たちの心理描写が秀逸で、ページをめくる手が止まりません。昨今の創作ミステリーの中でも、これは確かに話題になるべき作品だと感じました。人間の内面の闇を静かに、しかし確実に照らし出す傑作です。長年読書をしてきた身としても、久しぶりに心を揺さぶられる体験ができました。

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