ゆーきの本棚
感想

朝井リョウの『正欲』から3年半ぶりとのことで、早速手に取ってみました。話題になっている本は、やはりチェックしておかねばと思いまして。 正直申し上げて、この作品はなかなかに挑戦的です。家電メーカーの総務部勤務という一見地味な主人公を通じて、人間の本質というものを問いかけてくる。「寿命を効率よく消費する」というフレーズが印象的で、そこには現代人の生き方に対する深い問題提起があるのでしょう。 80を過ぎた身としては、若い頃とは違う視点で人生というものを考えさせられました。朝井リョウの筆致は相変わらず鮮烈で、日常の風景の中に隠された人間の複雑さを浮き彫りにしていく。新聞のベストセラー欄でも名前が上がっていましたが、納得のいく評価だと感じます。 時代の空気を敏感に捉えた傑作。定年後、時間に余裕ができた今だからこそ、じっくり味わえる一冊です。