カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
講談社 | 2011/07/01
みんなの感想
話題になってた道尾秀介さんの作品、ようやく読みました!最初の直木賞ノミネート作品ということで期待値も高かったんですが、いい意味で裏切られた感じです。 人生に敗れた詐欺師たちが、ある日少女を拾ったことで始まる奇妙な共同生活。最初は「これ、どう展開するんだろう?」って不安定な気持ちで読み始めたんですけど、各キャラクターの背景が少しずつ明かされていくにつれて、物語に引き込まれていきました。 何より面白いのは、プロットの緻密さ。一見ありえない状況設定なのに、すべてが繋がっていく快感が最高です。前半のほのぼのとした日常シーンから後半の怒涛の展開へ向かう流れは、本当に息つく暇もありません。エッセイも好きな私ですが、こういう仕掛けられた小説も大好きです。 ただ、登場人物たちの過去の描き方がちょっと重くて、読んでて心が疲れる部分もあったのでそこだけマイナス。でも全体的には傑作です。トレンド好きなら絶対読むべき!文庫版で手に取りやすいのもいいですね。
# カラスの親指を読んで 話題の本ということで、ずっと気になっていたこの作品をようやく手に取りました。道尾秀介という作家さんがこんなに面白いとは! 人生に失敗した詐欺師の中年男性たちが、少女との出会いをきっかけに奇妙な共同生活を始める。一見すると気の抜けた話に見えますが、読み進めるにつれて見事な伏線が張り巡らされていることに気づかされます。各登場人物の背景が少しずつ明かされていく過程は本当に秀逸です。 自営業をしている身として、人生の挫折や失敗を乗り越えようとする大人たちの姿勢に、知らず知らず引き込まれていました。ただペテンを仕掛けるだけでなく、その奥底に流れる人間らしさや温もりがこの作品の魅力なんだと思います。 終盤に向けて息つく暇もなく展開していくストーリー、予想外のどんでん返しと感動的な結末まで。文庫本とは思えないほどの充実感がありました。これまで避けていた作家さんでしたが、今後の作品もチェックしたくなりますね。大人が楽しめる傑作小説です。
話題の直木賞ノミネート作、日本推理作家協会賞受賞作ということで、期待して手に取りました。詐欺師の二人組と少女が織りなす物語、という設定は確かに興味深く、冒頭はぐいぐい引き込まれます。 ただ、読み進めるにつれて違和感が。登場人物たちの行動心理が時々飛躍的で、納得しづらい部分が散見されます。特に後半の「大計画」に向けての動きは、その動機づけが十分とは言えず、エンタメ性を優先させた感があります。 文章自体は確かに上手く、会話のテンポも良いのですが、人間ドラマとしての深掘りが浅い気がしてなりません。「人生に敗れた」という重いテーマを掲げながら、その内実の描写が表面的では? 受賞作だけに、もっと骨太な作品を期待していた自分がいます。エンタメ小説として見れば悪くはありませんが、年配の読者層を含めた広い共感を呼ぶには、もう一段階の工夫が必要だったように思います。話題作だからという理由で手に取るなら、事前にしっかり情報収集することをお勧めします。
正直に言うと、期待と現実のズレを感じてしまいました。直木賞ノミネート、推理作家協会賞受賞という肩書きに惹かれて手に取ったんですけど、読んでみると「確かに面白いけど、これは僕の心をガッツリ掴む作品ではないな」という感じです。 詐欺師たちと少女が織りなす奇妙な共生生活という設定は魅力的で、前半は引き込まれました。でも中盤以降、複数の視点が交錯するようになると、正直どの話に集中していいのか少し迷ってしまって。各キャラの背景が深いことは理解できるんですけど、それが物語全体の統一感を損なっているような気がしました。 終盤の逆転劇は確かに仕掛けがあるんでしょうけど、僕としては「へえ、そういう落とし方か」という感じで、心が揺さぶられるほどの感動には至りませんでした。文庫化されて手に取りやすいのは良いと思いますが、個人的にはライトノベルのような一気読みできる爽快感を求めている身としては、もう一段階何かが欲しかった。悪くはないんですけど、何度も読み返したいとは思わないかな。
慎重派の私が、ここまで一気読みしてしまった作品は珍しい。 この本は詐欺師の二人が主人公という設定で、最初は正直なところ不安だった。パート仲間も読んでいるというので試しに手にとってみたのだが、蓋を開けてみるとこれが素晴らしい。 人生に失敗した中年男二人の日常に少女が現れ、やがて一緒に暮らすようになる。その過程で、彼らの隠された過去が少しずつ明かされていく。詐欺という題材であっても、決して下劣ではなく、むしろ人間の深い部分が丁寧に描かれている。 何より驚いたのは物語の構成だ。途中まで予想できないような展開が次々と訪れ、最後にはすべてが繋がる快感を味わえる。道尾秀介というこの著者の実力の程が分かる仕上がりである。 64年生きてきて、ここまで感動した小説は久しぶりだ。人生の転機や後悔といったテーマが、心に深く届く。文庫本という手頃なサイズで手に取れるのも良い。同年代の方には特におすすめしたい一冊である。