連続殺人鬼の妻

連続殺人鬼の妻

ジャクリーン・バブリッツ, 宮脇 裕子

出版社:新潮社 出版年月日:2026/02/28

新潮社 | 2026/02/28

4.50
本棚登録:2人

みんなの感想

話題の本ということで手に取ってみたのですが、期待以上でした。連続殺人鬼の妻たちという、これまであまり着目されなかった視点から物語が展開していく面白さ。犯人たちではなく、その妻たちの心理描写に焦点を当てるというのは、本当に巧妙です。 主人公のルースが過去のトラウマと現在の事件を通じて真相に近づいていく過程が、引き込まれるほど緻密に描かれています。特に、加害者の妻という立場にある女性たちの複雑な感情や葛藤が、読んでいて胸が詰まるような思いがしました。善悪では割り切れない人間の深さというか、そういう部分が丁寧に描かれているんですよね。 イヤミスというジャンルも初めて知りましたが、不快感を覚えさせるミステリーというコンセプトが、この作品には本当によく合っています。単なるサスペンスではなく、人間関係の複雑さや心理的な恐怖感を味わわせる—それが新しく感じました。パートの合間に、つい続きが気になって読んでしまいました。同年代の方にもぜひお勧めしたい一冊です。

連続殺人鬼の妻という一見するとセンセーショナルなテーマながら、丁寧に作られた作品だと感じました。 冒頭から引き込まれるのは、単なる事件の追跡ではなく、ルースという主人公の過去と現在が絡み合う構造です。NYでの生活を送る彼女が故郷の事件を知った時の心理描写が秀逸で、自分も同じように過去に縛られている場面を何度も経験している身として、共感しながら読み進められました。 最も印象的だったのは「殺人鬼の妻たち」という視点です。通常のミステリーとは異なる角度から人間の複雑さを掘り下げており、事件そのものよりも、その周辺にいる人々の心理が丹念に描かれている。慎重に物語を進める著者の筆運びに、何度も立ち止まって考えさせられました。 後半のどんでん返しについては賛否があるかもしれませんが、私としては納得できる構成だと思います。心理サスペンスとしての完成度が高く、仕事で疲れた時の手に取る本としては少々重いかもしれませんが、じっくり読む価値のある一冊です。