橋本 美月の本棚
連続殺人鬼の妻

連続殺人鬼の妻

ジャクリーン・バブリッツ / 宮脇 裕子 新潮社 2026年2月28日

話題の本ということで手に取ってみたのですが、期待以上でした。連続殺人鬼の妻たちという、これまであまり着目されなかった視点から物語が展開していく面白さ。犯人たちではなく、その妻たちの心理描写に焦点を当てるというのは、本当に巧妙です。 主人公のルースが過去のトラウマと現在の事件を通じて真相に近づいていく過程が、引き込まれるほど緻密に描かれています。特に、加害者の妻という立場にある女性たちの複雑な感情や葛藤が、読んでいて胸が詰まるような思いがしました。善悪では割り切れない人間の深さというか、そういう部分が丁寧に描かれているんですよね。 イヤミスというジャンルも初めて知りましたが、不快感を覚えさせるミステリーというコンセプトが、この作品には本当によく合っています。単なるサスペンスではなく、人間関係の複雑さや心理的な恐怖感を味わわせる—それが新しく感じました。パートの合間に、つい続きが気になって読んでしまいました。同年代の方にもぜひお勧めしたい一冊です。