橋本 美月の本棚
どうしても生きてる

どうしても生きてる

朝井リョウ 幻冬舎 2021年12月9日

感想

話題になっていたこの本を、やっと読むことができました。正直なところ、最初はタイトルだけで敬遠していたんです。でも、世間で「何度も読み返したい」という声を聞いて、手に取ってみました。 読み始めて驚きました。各編が描く人物たちの心の内側がこんなに生き生きとしているなんて。死にたい気持ちも、他人の秘密を知ってしまった時の違和感も、人生に与えられた不条理も——みんなが心のどこかで抱えているものばかりです。著者は、そうした「言葉にならない痛み」を本当に丁寧に、詩的に描き出しています。 パート生活を送る身として、職場の人間関係や人生の選択肢の少なさについ考えてしまう場面もありました。でも同時に、みんな何らかの「籤」を引いて生きているんだな、と少し楽になる気もしました。重たいテーマなのに、読み終わった後は不思議と温かい気持ちになれます。今年読んだ本の中でも特に心に残る一冊になりました。