どうしても生きてる

どうしても生きてる

朝井リョウ

出版社:幻冬舎 出版年月日:2021/12/09

幻冬舎 | 2021/12/09

5.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

人生において、理由のない重さに押しつぶされそうになることがあります。エンジニアとして論理的であろうとしていても、心は必ずしも合理的な答えを提示してくれません。この短編集を手にしたのはそうした違和感を言語化してくれる本を探していたからです。 各編で描かれるのは、一見すると日常的な出来事なのに、どこか普遍的な痛みが潜んでいる風景ばかり。システムのようにシンプルに説明できない感情の機制を、著者は驚くほど丁寧に掘り下げています。特に印象的だったのは、理屈では割り切れない苦しさが、時間とともにどのように変化していくのかを描いた表現です。 本書を読み進めるなかで気づかされたのは、生きることの難しさは決して異常な状態ではなく、多くの人が同じ場所で立ち止まっているということ。文学作品としての完成度も高く、エッセイのような深い思考の跡を感じさせながらも、物語として引き込まれてしまいます。 手元に置いて、折に触れて読み返したい一冊となりました。

感想

話題になっていたこの本を、やっと読むことができました。正直なところ、最初はタイトルだけで敬遠していたんです。でも、世間で「何度も読み返したい」という声を聞いて、手に取ってみました。 読み始めて驚きました。各編が描く人物たちの心の内側がこんなに生き生きとしているなんて。死にたい気持ちも、他人の秘密を知ってしまった時の違和感も、人生に与えられた不条理も——みんなが心のどこかで抱えているものばかりです。著者は、そうした「言葉にならない痛み」を本当に丁寧に、詩的に描き出しています。 パート生活を送る身として、職場の人間関係や人生の選択肢の少なさについ考えてしまう場面もありました。でも同時に、みんな何らかの「籤」を引いて生きているんだな、と少し楽になる気もしました。重たいテーマなのに、読み終わった後は不思議と温かい気持ちになれます。今年読んだ本の中でも特に心に残る一冊になりました。

感想

心がざわざわする本に出会いました。「どうしても生きてる」って、なんだかすごいタイトルですよね。 短編集なんですが、どれもこれも、生きることの重さや違和感を丁寧に掬い取っている。死にたいと思う気持ちに理由を求めることの虚しさとか、予期しない出来事が突然心に穴を開けることとか。そういった、誰もが少しは感じたことがあるような、けれど言葉にしづらい感情が、ここまで繊細に書かれているとびっくりしてしまいます。 自営業をしていると、誰にも相談できない悩みとか、理解されにくい葛藤とか、そういったものが溜まっていくことがあるんです。この本を読んでいると、自分だけじゃないんだって感じられて、妙に安心というか、救われた気がしました。重い内容なのに、不思議と前に進む力をもらえる。 装丁も素敵だし、文庫本だから持ち運びやすくて、何度も読み返したくなる一冊です。心が疲れているときこそ、読んでみてほしいと思います。

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