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連続殺人鬼の妻

連続殺人鬼の妻

ジャクリーン・バブリッツ / 宮脇 裕子 新潮社 2026年2月28日

連続殺人鬼の妻という一見するとセンセーショナルなテーマながら、丁寧に作られた作品だと感じました。 冒頭から引き込まれるのは、単なる事件の追跡ではなく、ルースという主人公の過去と現在が絡み合う構造です。NYでの生活を送る彼女が故郷の事件を知った時の心理描写が秀逸で、自分も同じように過去に縛られている場面を何度も経験している身として、共感しながら読み進められました。 最も印象的だったのは「殺人鬼の妻たち」という視点です。通常のミステリーとは異なる角度から人間の複雑さを掘り下げており、事件そのものよりも、その周辺にいる人々の心理が丹念に描かれている。慎重に物語を進める著者の筆運びに、何度も立ち止まって考えさせられました。 後半のどんでん返しについては賛否があるかもしれませんが、私としては納得できる構成だと思います。心理サスペンスとしての完成度が高く、仕事で疲れた時の手に取る本としては少々重いかもしれませんが、じっくり読む価値のある一冊です。