雄一の本棚
感想

司馬遼太郎の『国盗り物語』第四巻にして完結編。この巻で描かれる織田信長と明智光秀の関係性の描き方に、思わず引き込まれてしまいました。 これまでのシリーズを読み進めてきた身からすると、二人の対比がここまで鮮烈に浮かび上がるとは想像していませんでした。外に向かって激情的に進撃する信長に対し、内向的で繊細な光秀。同じく斉藤道三の目をかけられながらも、相容れぬ二つの個性が最終的にどのような軌跡を描くのか。著者がそこに「本能寺の変」の真因を見出そうとする姿勢が、非常に興味深いのです。 歴史的事実と創作の間を巧みに行き来しながら、人間本来の感情や矛盾に深く切り込んでいく。54年も生きていると、組織の中での人間関係の複雑さがよく分かるので、この作品が描く登場人物たちの葛藤は他人事とは思えません。 長大なシリーズの最後を飾るにふさわしい、説得力と圧倒的な描写力。手にして悔いなし。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ